研究実績の概要 |
超伝導バルク磁石上に、温度および雰囲気ガスを制御された薄膜結晶育成セルを設置し、磁場中で有機半導体薄膜の育成を行った。結晶成長セルは恒温水を循環することによって温度を一定に保ち、Oリングによって密封して雰囲気制御を可能とした。キャリアガスとして窒素ガスを用い、ガスの流量によって溶媒の蒸発量を制御した。ガラス基板に撥水性の表面処理を施すことによって基板上の液滴所定の位置に配置した。表面処理は OTS(octadecylsilane)の自己組織化単分子膜を紫外線照射でパターンニングする場合とインクジェット法による場合の両方を実施した。成長セルの上部はガラス製であり、顕微鏡による結晶成長のその場観察を行った。磁気力に伴うモーゼ効果によって有機半導体結晶の核形成の位置を所定の場所に限定し、セル全体を水平方向に移動することによって結晶の成長方向を制御した。有機半導体多結晶を一方向に成長させることよって結晶粒が淘汰され単結晶化した。成長温度、溶液濃度、キャリアガス流量などの結晶育成条件と結晶品質との関係を明らかにし、最適な成長条件を見出した。有機半導体材料には、TIPSペンタセンやC8BTBT, DB4Tを用いた。作製した薄膜の配向性の評価はX線回折実験によって行った。電気特性の評価のために有機トランジスタを作製し、結晶性とデバイス特性、耐久性の関係を調べた。
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