研究課題/領域番号 |
25600083
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宇田 聡 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90361170)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Li2B4O7 / 双晶 / 周期双晶構造 / 擬似位相整合構造 / 深紫外光 |
研究概要 |
本年度は、LB4結晶の基本方位に関係して、まず、(010)双晶を成長方向に含む板状結晶の作製を行った。結晶成長方位と平行な(010)双晶を含有する種子結晶を用い、マイクロ引き下げ法により5×2mm板状のLB4結晶を[100]方位に成長させた。電流印加により融液組成を変えるため、使用する初期融液組成は一致溶融組成からB2O3側にずれた組成を用いた。LB4は、ほぼ一定組成を保つので、こうした融液の組成からでも化学量論組成の結晶が成長する。育成のポイントは (010)双晶が種子結晶から成長結晶にスムースに伝搬するよう界面近傍温度分布を適正化し成長界面をフラットにすることであるという我々がこれまでに会得した結晶成長技術を確認した。 次に、界面融液への直流電流注入による(010)双晶と(100)双晶の同時成長を試みた。双晶種を変換するには成長界面方位を変化させれば良い。その方法を示す。まず、直流電流(100mA/cm2)を界面に平行に融液に印加するとマイナス側の電極近傍にLiイオン種が引き寄せられLi2O成分が濃集する。すると平衡融点温度が上昇し、成長の駆動力である過冷却が大きくなり成長速度が局所的に増大する。その結果、界面形状が変化し(010)双晶方位と界面方位の角度が変化する。角度が45度となると(010)双晶と同時に(100)双晶も発生した。(100)双晶が界面に水平方向に伸張した後電流をオフにすると界面はフラット状態に戻り、(010)双晶のみが発達した。ただし、この操作の再現性は、現時点において必ずしも良いものではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実績の概要の記載にあるように、おおむね計画通りであるが、問題点として電流を注入する事により成長界面方位と双晶方位の角度をずらす実験の再現性が良くないことがあげられる。次年度の研究は、この部分の解決から始める。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に求めたメカニズムにより、直流電流印加のオン・オフを周期的に繰り返して周期双晶構造を作製する。(a) 532nm, (b) 266nm, (c) 200nmの高調波を発生させるため、周期双晶には、40ミクロンから5.4ミクロンまでの短周期が要求される。ただし、(b)と(c)にある短波長の周期制御は、本年度行ったLB4成長実験の再現性からかなりの困難さが予想される。そこで、正確な周期達成のため引下げ駆動部に10nm/ステップの精度の圧電アクチュエータを使用することを考える。 次に、前プロセスで作製した周期双晶構造を持つ四ホウ酸リチウム結晶を用いて、上記の第2高調波を発生させ、周期双晶構造がQPM構造として機能する事を実験で証明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の使用計画において、研究室既存のマイクロ引き下げ装置を改造し、効率的に研究を推進することが出来たため、新たに直流電源、白金等を購入する必要がなかった。 次年度の使用額は、本年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、次年度請求額とあわせ、次年度の研究遂行に使用する予定である。
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