研究課題/領域番号 |
25600087
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
鎌田 憲彦 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50211173)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 結晶工学 / 非発光再結合準位 / 光学評価 |
研究概要 |
発光デバイスや蛍光体では、転位や点欠陥、残留不純物等の結晶欠陥が非発光再結合準位を形成し、発光効率の低下を招く。高効率化のためには、これらの非発光再結合準位を電極を用いずに光学的手法で評価することが望まれる。申請者が開発した2波長励起フォトルミネッセンス法はバンド間励起(AGE)、禁制帯内励起(BGE)の2励起光を組み合わせ、BGE照射による発光強度の変化から非発光再結合準位を観測するという、このための有効な手法である。 今年度はレーザー照射白色光源を選定、導入し、また集光光学系を設計、準備した。これらを組み合わせて、2波長励起フォトルミネッセンス測定におけるBGE光源として整備した。この新たなBGE光源を用いて半導体結晶、白色LED用蛍光体等の測定を行い、禁制帯内に分布する非発光再結合準位の検出を行った。 BSON蛍光体は青色LED励起により高効率、高安定で比較的広い半値幅の緑発光を示すため、演色性に優れた白色LEDランプ用の蛍光体として有望である。われわれは熱ルミネッセンス測定によるキャリア捕獲準位の測定に続いて、2波長励起フォトルミネッセンス測定による非発光再結合準位の検出を行った。波長222nmのエキシマーランプをAGE、波長680nmから1,500nmまでのハロゲンまたはXeランプ光をBGEとして、室温でBGE照射に伴う発光強度の増大を観測した。これは1準位モデルで記述される非発光再結合準位の存在を示しており、キャリア捕獲準位と非発光再結合準位の共存する興味深い系であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザー照射白色光源を選定し、照射光学系を設計、整備した。従来のXeランプと光学フィルタの組み合わせによるBGE光源よりも波長連続可変である点、また集光性が優れており有効である。
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今後の研究の推進方策 |
光学系の設計、導入に時間を要したが、整備したレーザー照射白色光源を活用して2波長励起フォトルミネッセンス測定を継続し、有益な実験データを得るべく努める。照射光学系の工夫によるS/N比改善を継続しながら、BSON蛍光体のキャリア捕獲準位と非発光再結合準位の関係、紫外用AlGaN量子井戸試料の非発光再結合準位検出を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
レーザー照射白色光源の集光光学系の設計に手間取ったが、結果的に極めて効率的に構成することができた。このため予定より支出が低額となり、また次年度の2波長励起フォトルミネッセンス測定用試料の増加が予想された。そこで研究計画を再考し、予算残額を次年度測定に回すこととした。 整備したレーザー照射白色光源および集光光学系を活用し、紫外用AlGaN量子井戸試料、白色LED用各種蛍光体試料の2波長励起フォトルミネッセンス測定を精力的に進める。
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