研究課題
MOSデバイスはこれまでSi(100)基板上に構築されてきた。それはこの面方位においてSi/SiO2の界面準位が最小で、その結果、電子移動度が最大だからである。その一方、Si(100)面の正孔移動度は電子移動度の約30%の低い値しか示さず、このためCMOSではNMOSとPMOSの動作速度を合せるべく、前者をわざと大きく創っており、そのことがCMOSデバイスの更なるスケーリングを阻む一因となっていた。本研究は、申請者らが構築してきた結晶成長技術の最新の成果を組み合わせ、正孔移動度がSi(100)面に比べ2倍以上も高いSi(110)基板上にSi(111)結晶をエピタキシャル成長させるという、これまでにない発想の革新的CMOS技術を提案し、原理的実証を行うことを目的として研究を行っている。最終年度である2015年度は、前年度に実施した工業的製法であるLPCVD装置を用いてシランを原料とするSiC基板上へのSiエピタキシャル成長を行い、X線回折(XRD)によって3C-SiC(111)/Si(110)上にSi(111)が成長していることを確認した。またこれと並行して、Si(110)基板上3C-SiC(111)回転エピ機構を、前年度に開発したRHEED法を用いて詳細に解析し、回転エピ成長は、SiC成長前に形成するアモルファス状バッファ層をSiC成長温度に昇温加熱する段階で回転エピ核が発生することによって生じることが明らかになった。この知見を基に従来にない高品質の3C-SiC(111)/Si(110)回転エピ膜の成長に成功した。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件)
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