本研究の目的は非磁性体表面で大きなスピン分裂を示すバンド構造(Rashba効果)を持つ系の運動量・スピンロッキング由来のスピン伝導現象を測定することである。そのためにまず左右円偏光のレーザーを試料に照射し、試料両端に生じる起電力を測定した。Bi(111)表面とAg(111)√3×√3-Bi表面に対して円二色性が観測できたが、Rashba効果がないSi(111)7×7表面でも円二色性が見られた。第二の実験として、試料に電流を印加しながらスピン偏極ヘリウムイオンの散乱によって表面Rashba系の電流誘起のスピン偏極を検出することを試み、スピン軌道相互作用に由来するスピン依存の散乱を検出した。
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