研究課題
本研究の目的は、タンパク質分子などの生体分子をナノポアデバイスにより検出する基盤技術を構築することである。このようなデバイスの要は分子サイズレベルのナノポアを形成する技術である。グラフェンは原子一層でありながら安定な物質であり、単分子通過時間が短いため将来のナノポアデバイスの主要部分を担うことができると期待される。これまで、Ag微粒子の触媒作用によりグラフェンの穴開けが可能なことを示してきたが、任意の位置に任意のサイズのナノポアを開ける技術は達成されていなかった。26年度は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて架橋グラフェンの任意の位置にナノポアを形成することを目標とした。AFM探針により位置指定を行うナノポア形成において、当初は探針に蒸着したAg微粒子を基板上に移し、その後の熱処理によりAgを触媒とする酸化反応によりナノポアを開ける方法を採用した。しかし、この方法では熱処理中のAg微粒子が動くという問題が発生した。そこで、Agコート探針をAFMのタッピングモードにより間欠的に架橋グラフェンに接触させ、電流を流すことによって発生するジュール熱を用いて探針近傍でのみ酸化反応を起こす方法を試みた。さらに、酸化反応中に探針の高さを一定に保つこと、先端の曲率が非常に大きい探針を用いることなどの改良により、20nm程度まではほぼ真円のナノポア加工に成功した。一方、ナノポア通過時のイオン電流ドロップ検出については計測系を完成させ、ビーズを用いた安定なドロップピーク観察を達成した。以上により、本研究の目的であるグラフェンの微細加工技術に基づくナノポアデバイスの基盤技術が構築された。
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