研究課題/領域番号 |
25600099
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50229556)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 時間分解静電気力測定 / 周波数シフト / 有機太陽電池 / 再結合寿命 |
研究概要 |
平成25年度は測定装置の開発と太陽電池薄膜を用いた試験的な測定を試みた。 励起光の導入には、二つの方法がある。第一の方法は、試料表面に対して極めて浅い角度で、光てこ系とほぼ垂直の方向からの光導入である。この方法では、探針直下の試料表面に光が正しく照射しているかどうかの判断がきわめて難しかった。レーザー照射のタイミングにより、カンチレバー振幅に変化が現れる。これは、実際に光起電力による静電気力生成によるものであると考えられるが、励起用レーザーの光てこ光学系への迷光により、フィードバックが不安定になるので、安定な画像を得るには至らなかった。 第二の方法は、透明基板を用いて、基板裏側から励起光照射を行う方法である。この方法は、探針直下に確実に光照射できるが、真空チャンバーへの光導入が難しく、光てこ系への迷光も大きくなるので、光てこ系に波長フィルターを設置するなどの準備が必要である。したがって、この方法の試みは平成25年度には行わず、26年度の課題とすることにした。 フィードバックが不安定であるという問題を残しているが、時間分解画像取得への準備として、太陽電池P3HT/PCBM薄膜の時間分解静電気力顕微鏡画像の取得を試みた。タッピングモードでフィードバックをかけ、試料-探針間の距離を一定に保ちながら、周波数シフトの画像を取得した。振幅フィードバックによるトポグラフ像と周波数シフトによる引力像では全く異なる画像の得られることが分かった。励起光の照射タイミングにより、周波数シフト像に若干の変化が認められたが、確実はデータを得るには至っていない。装置のチューニング、試料の最適化を続け、平成26年度に確実なデータを得る必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室の立ち上げ作業が続いていることから、装置の状況が不安定であり、研究時間も不足しているなど、主に環境的な要因による。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の結果をもとに、装置の改良を行う。励起用光源から光てこ系への迷光を低減する。これによってフィードバックが安定化し、高い分解能の画像が取得できるようになると期待できる。また、太陽電池試料の作製条件を検討し、時間分解静電気力測定にもっとも適したP3HTとPCBMの混合比や溶媒の選択を行う。これらの改良や条件検討により、明確な時間分解特性を示す静電気力画像を得ることを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究室が立ち上げ段階にあり、充分な実験回数を実施できなかった。したがって、試料作製のための試薬代などが、予想よりも少なくなった。 前年度に実施できなかった実験を実施して遅れを取り戻すために、今年度は予定よりも多数回の実験を行う。そのための試料作製費(試薬代)として使用予定である。
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