天然黒鉛を原料とする天然膨張黒鉛シート(以下黒鉛シート)を用いて弱光時には化学電池として動作し,光励起によりパワーアップするソーラーアシストバッテリを開発することを目的とした。 今年度は,これまでに水溶液系の金属電池で起電力向上や光電流の増加を確認してきたソーラアシスト効果をより実用的な,金属空気電池に適用し,実用化を視野に入れた検討を行った。 まずは,正極に黒鉛シート,負極に亜鉛メッキ鋼板,電解液に塩化ナトリウム水溶液を用いた金属空気電池を試作し,2mAh/cm2程度の実用的な特性を有することを確認した。 次に金属空気電池の正極(酸素極)である,黒鉛シート上にスパッタ法により種々の量の酸化ニオブを堆積させ,化学電池としての性能を確認後に光照射による効果を検討した。化学電池としては,2mA/CM2が得られたが,光照射により1%程度上昇することを確認したが,実用的な効果は得られなかった。 更に,負極である亜鉛メッキ鋼板上にスパッタ法により種々の量の酸化ニオブを堆積させ,化学電池としての性能を確認後に光照射による効果を検討したが,光照射により,明確な容量の増加は確認できなかった。しかし,条件により光照射により明確な容量の低下が確認され,これは視点を変えれば,他の用途への適用の可能性や,容量向上の可能性を示すものであり今後に期待が持てる結果となった。
|