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2013 年度 実施状況報告書

半導体光デバイスの光と電流の微細構造形成技術

研究課題

研究課題/領域番号 25600111
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京工業大学

研究代表者

宮本 智之  東京工業大学, 精密工学研究所, 准教授 (70282861)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード半導体光デバイス / 面発光レーザ / 製作プロセス技術 / ヘテロ界面混晶化 / 選択酸化 / 相互拡散 / 物性制御 / 光集積
研究概要

選択酸化手法は,半導体ウェハに形成したメサ構造の端面から,AlAs層を400℃以上の高温水蒸気中で酸化する技術である.酸化部分の物性が変化し,電気経路と光の閉じ込めが可能となる.酸化形状は温度と時間で制御するが,その酸化レートはAlAs層膜厚に大きく依存する.そこで本研究では,混晶化手法を適用してAlAs膜厚の実効制御による酸化特性制御を目的とした.混晶化手法とは,2種の半導体界面原子を相互拡散して組成変化させる技術で,結晶成長後にリソグラフィにより任意形状で物性制御が可能となる.これをAlAs/GaAs界面に適用することで,任意の面内形状で選択酸化特性を制御する.
本年度は,理論モデル検討と,シミュレーションによる形状制御性の検討を進めた.酸化レートは,材料の表面張力およびAlAs膜厚により決まる.本研究で適用する混晶化は,界面組成を変化し実効的にAlAs膜厚を変化する.今回は膜厚変化のみに着目して理論モデルを検討した.なお,GaAsに挟まれたAlAs層の酸化特性自身は既存報告パラメータを利用した.AlAs層30nmがGaAs層に挟まれた構造でAl原子の拡散を拡散方程式に基づき解析した.界面に組成傾斜したAlGaAsが形成されるので,Al組成が例えば95%以上となる範囲を実効膜厚として,拡散長による実効膜厚変化を解析した.結果として,Al組成95%以上を実効膜厚とすると,拡散長10nmの場合,混晶化しない場合に比べて酸化レートが15%にまで減少することを明らかにした.
以上のように理論モデルを構築し,酸化レートをシミュレーションできるようになった.実験的には,特性評価のための半導体ウェハの設計と製作を完了した.今後,ウェハを用いて混晶化および酸化を行い,実験的な特性評価を進める.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,提案するヘテロ界面混晶化技術の選択酸化技術への適用における,理論モデルの構築,シミュレーションによる特性評価,および実験的な検討によるシミュレーション結果との比較を予定していた.
理論モデルは,主要なメカニズムを取り入れたモデルを構築し,数値シミュレーションとして具体的な条件に基づく,混晶化による選択酸化特性の解析がほぼ行えるようになり,概ね当初予定を達成したと考えている.より詳細なシミュレーション手法の適用を今後行う予定である.
一方,実験的な取り組みとしては,混晶化による選択酸化評価に用いるウェハの設計とウェハの製作は行ったが,実際の混晶化およびその選択酸化による評価ができなかった.これは,理論モデル構築,およびシミュレーションに時間がかかり,適当な実験的評価が行えるウェハの設計が遅れたため,ウェハ製作に時間がかかったためである.現在これらの準備が完了したため,早急に実験を行い,シミュレーションとの比較を行う予定である.

今後の研究の推進方策

まず,実験的に混晶化を行った試料に,選択酸化を適用し,その酸化特性がシミュレーションとどの程度類似する特性を持つかを検討する.
混晶化実験において,混晶化に必要な欠陥導入手法として,液体ガラスの塗布による方法と,イオン注入の方法の両方を検討する.これは,欠陥導入量,欠陥導入深さの制御が,各種のデバイス構造により異なってくるため,広範なデバイスへ対応できるよう,その制御範囲を広げる目的で実施する.
リソグラフィなどによりパターンを形成し,それをもとに熱処理を含む混晶化プロセスを行う.その後,AlAs層を露出するため,半導体を必要な形状のメサ状に形成したのち,通常の選択酸化を適用する.これにより,混晶化の生じた部分と混晶化していない部分で選択酸化特性が異なる結果を想定している.製作した試料の選択酸化距離あるいは選択酸化レートを抽出し,シミュレーションとの違いを評価し,シミュレーション側に反映することで,シミュレーションツールを完成させる.
以上の検討で得られた特性を実際のデバイスに適用し,デバイスと適用性を評価する.
デバイスとしては,面発光レーザへの適用を行う予定である.

次年度の研究費の使用計画

理論モデル構築と数値シミュレーションに予想より時間を要したため,これらの理論的検討をもとに進める実験的な作業について,一部の実験が行えなかったため,当初予定していた実験に用いる部材の購入を行わなかったため,次年度使用額が発生した.なお,理論的解析に基づく資料構造設計はできたため,試料そのものは準備した.この資料に適用する実験に必要な部材のみ準備ができなかった.
理論的検討をもとに,試料準備は行ったており,試料に適用する実験の計画も進めている.このため,予定していた試料に適用する実験に必要な部材の購入を行う.
また,この試料に関する実験結果をもとに,シミュレーションを改善し,その結果を用いて,光デバイスの製作を行う.これらは当初予定していた実験内容であるため,当初予定に従い,デバイス用部材の購入を行う.
なお,このほかに成果の発表を行うために旅費および,当初試料及びデバイス試料に関する分析も行う.

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公開日: 2015-05-28  

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