これまで、回折の原理実証にとどまっていたこの研究であるが、今回、以下のことを明らかにした。 (1)オゾン光励起状態の長寿命性の確認。オゾンを深紫外レーザーで励起した際に、屈折率変動が生じるが、その膨張は極めて遅く、さらに、その励起状態はμsを超える長寿命であることがわかった。しかし、回折効率は、ΔnL積の変化が波長になるたびに起きており、振動することもわかった。 (2)kJ/cm2までのレーザー耐力の確認。実際にレーザーを集光し、回折実験を行う状態で、入射強度を増加させた結果、光励起されたオゾンガスでも、ナノ秒レーザーで880J/cm2の強度までレーザー耐力があることがわかった。これは通常の回折格子の1桁以上高い値であり、kJのレーザーでも1cm^2の断面積で制御できることが明らかになった。 (3)高回折効率の実現。高回折効率には、以下に0次光を減少させるかが重要になる。計算機シミュレーションを行った結果、現状で入射角度の詳細な制御と、被回折光のコリメーション度合いにより大きく変わることがわかった。その条件を実験に反映させ、最高効率75%を達成した。 これらをもとに、新しい高強度レーザービーム光学を考案した。これは、これまでの光学系では取り扱えなかった高強度ビームを回折、反射、部分反射させることでできる光学であり、新しい非線形光学に発展できるものとなる。
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