研究課題
液中プラズマは、ナノ粒子の高速合成や、環境、医療・バイオなど様々な分野にて非常に注目されている液中プラズマの基礎放電過程は未だ明らかになっておらず、液中プラズマ内の電子の密度・温度・エネルギー分布など挙動を計測し、液中プラズマの学術基盤を構築することが求められる。本研究ではレーザートムソン散乱分光システムを液中プラズマ計測に応用することを目的に研究を実施した。まずレーザートムソン散乱分光法において、その計測を妨げる迷光となる溶液・光学系及び容器からのレイリー・ラマン散乱を極力低減する液中プラズマ容器とともに、溶液によるトムソン散乱光の減衰を抑制し、且つ効率的にトムソン散乱光を得る光学系、および溶液内でのレーザーブレークダウンを発生させないレーザー光強度の同定に関する検討を実施した。計測対象となる液中プラズマとしては、我々が独自で開発した60Hz交流電力を用いたプラズマ源を使用した。プラズマ放電用の交流電圧をトリガとして、レーザー光パルスと散乱光検出器であるICCDカメラのゲートオープンタイミングを制御し、液中プラズマの電子温度および密度の計測を試みた。また使用した溶液としては、メタノールなどアルコール類を用いた。その結果、メタノール溶液を用いたプラズマにおいて、電子密度は1立方センチメートル当たり10の13乗から14乗程度、電子温度も1~3eV程度であった。しかし、今回上記のように専用の計測用チャンバを構築したものの、気化した溶液や液滴でのレイリー散乱やラマン散乱の影響が非常に強く、十分にS/N比の高い計測が実現できていないため、今後更なる改善が必要であることがわかった。そこで今後も構築したシステムを改良するとともに活用して実験を継続していき、液中プラズマの科学的な基盤の構築を目指す。
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