研究課題/領域番号 |
25600129
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野 崇人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90282095)
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研究分担者 |
戸田 雅也 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40509890)
川合 祐輔 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20451536)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 熱電子発電 / 太陽発電 |
研究概要 |
数ミクロン程度の熱電子発電素子を作製した。熱電子発電素子は、SiCやWをエミッタとし、Ptをコレクタ電極とした。エミッタが加熱されたとき、熱電子がエミッタからコレクタに流れ、発電する。ギャップを狭くすると発電効率が高くなる。先端が尖った微小な突起を複数個形成して、エミッタとコレクタ間のギャップを形成することができた。太陽光発電を想定し、太陽光によってエミッタが加熱される構造とした。エミッタ側には、高仕事関数金属、コレクタ側には低仕事関数金属を使用した。低温で動作させるために、Cs原子をギャップに封止する構造とする。太陽熱発電の応用を考えた場合、光エネルギーによる直接遷移と熱を組み合わせた発電が有効であると期待できる。そこで、半導体薄膜の利用について検討し、その一部について、実験した。 太陽熱発電を想定した評価装置を作製した。簡易にプロトタイプの発電特性を評価するため、真空チャンバー内に発電素子を設置し、その片面を循環水で冷却し、片面は赤外線ランプを集光して加熱した。チャンバー内に設置するCs発生セルを自作した。 CVD装置を利用して、BN系の薄膜堆積を試みた。BN膜は、負の電子親和力を持っていることからエミッタとして利用可能である。また、組成により、仕事関数が変化するとの報告もあることから、デバイスの最適動作条件に合わせた膜の形成が可能となる。他にも、可能性がある材料として、WやSiCなどについて実験した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した内容はすべて実施した。
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今後の研究の推進方策 |
ナノギャップ熱電発電素子の作製と評価を行う。前年度得られた知見を基に、ナノギャップを持つ熱電子素子を試作し、評価する。ナノギャップを形成するために、2流体洗浄などで表面からナノメートルサイズの汚染を除去する方法について有効性を検討する。ナノギャップを形成するために電極上に微小突起を形成するが、この微小突起からの熱の損失を低減するため、形状や配置などを検討する。また、熱の損失を極力低減するように、 電極を固定するハウジングを設計・試作する。仕事関数制御薄膜の評価と改良を行う。前年度に引き続き仕事関数が組成で可変な薄膜の合成とその評価をおこなう。 熱電子発電実験を行う。前年度試作した評価装置を用いて、光アシストの電子発電を実証し、その効率を評価 する。 熱電子冷凍実験を行う。試作した熱電子冷却素子の冷却能を評価する。温度センサからの熱の逃げを減らすために、熱伝導率が小さな温度センサを自作する。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月末に購入した物品、および学会参加費の支払いが4月になったためである。 上記理由を除いては使用計画に変更はない。
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