研究課題
挑戦的萌芽研究
高価数元素の共添加により次世代サーベイメータに搭載が期待されているEu:SrI2シンチレータ結晶の発光量を改善する。独自に開発したハロゲン化物単結晶育成用の改良型マイクロ引き下げ法を用いて、Eu:SrI2シンチレータ結晶への高価数元素共添加および陰イオン制御を行うことでEu:SrI2結晶内のEuイオンの価数制御を行う。結晶内Euイオンの中でEu3+イオンとなっているものを共添加による電気的中性条件によりEu2+イオンに変えることで、シンチレータ発光量の改善を目指した。安定して結晶育成を行えるようにするため、合成条件の最適化を行った。様々な温度勾配、育成速度、育成前処理条件を試した結果、温度勾配は20~30℃/mm、育成速度は0.01~0.1 mm/min, 育成前処理条件は10-4Pa、300℃におけるベーキングの際に最も安定して結晶作製に成功した。発光量の向上をめざして、SrI2:Eu結晶に発光中心であるEuの以外にGd、La等の高価数元素を共添加した結晶の育成を行った。これは、通常Euの価数は2価と3価が共存するが、放射線検出器に利用可能な発光に寄与する2価の割合を増やして、それを阻害する3価を抑えることを目的としている。その結果、いずれも結晶化に成功し、今後の開発につながるような知見を得ることができた。単結晶の切断・研磨技術の確立に関しては、ハロゲン化物が難溶である合成油を用いてグローブボックス内で切断・研磨を行う技術を開発した。
2: おおむね順調に進展している
初年度の目標であった改良型μ-PD法による高価数元素共添加Eu:SrI2単結晶作製、および共添加Eu:SrI2単結晶の切断・研磨技術の確立が順調に進展したことで、当初の予定通りに研究が進んでいると考えている。
今年度は、目的とする共添加Eu:SrI2単結晶の育成に成功した。さらに、高品質なハロゲン化物単結晶を作製する手法の確立を行うことができた。今後は作製したそれらの単結晶の評価手法を確立して、結晶性評価・組成分析、光学特性評価および放射線応答評価を進めていく。また、光学評価・放射線応答評価の際に必要となる切断・研磨技術の確立も同時に進める。
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Journal of Crystal Growth
巻: 401 ページ: 484-488
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Optical Materials
巻: 36 ページ: 1946-1949
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