研究概要 |
試料温度と伴に変化する複屈折の情報を2次元イメージング画像として可視化し, 偏光顕微鏡では不可能であった位相差や主軸の回転角度を定量評価できる測定システムを開発する。その結果, 薄膜やバルク試料を問わずデバイス材料の汎用的な物性評価装置として活用する事を目標とした。 今年度は現有の冷凍機と2次元複屈折イメージング装置を組み合わせた測定システムを構築した。その際, 一般には複屈折がでないと言われている合成石英製の光学窓によるニセモノの複屈折が大きな温度変化を示すことが分かった。しかしながら冷凍機に一度, 試料をセットすると動かすことが出来ないため, 試料を動かさずに光学窓の影響を引き去らなければならない課題に直面した。そこで我々はイメージング装置の機能をフルに活かして, 試料がある部分と, 試料が無い部分の複屈折を同時に測定して, そのベクトル差分を取ることによって, 試料本質の複屈折を得ることに成功した。 この技術をもとに, 複屈折がほとんど無い立方晶系のさまざまな試料を対象に温度変化を測定した。その結果, これまで測定が困難であった構造相転移や磁気相転移の様子を明瞭に観測することに成功した。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていくと, 冷凍機の光学窓の影響が無視できない, 深刻な問題に突きあたった。この問題の解決に時間を要したため, 冷凍機の改造まで時間が無かったためである。 測定条件のおおよその最適値が分かってきたので, それが実現するように, 現在, 冷凍機の改良図面を書いている。改良に必要な予算として次年度で使用する予定である。
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