研究課題/領域番号 |
25600135
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
郷原 一寿 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40153746)
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研究分担者 |
塩谷 浩之 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90271642)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 回折イメージング / 位相回復 / ステレオイメージング |
研究概要 |
回折イメージング(diffractive imaging)とは、実験により得られた回折波の振幅および実験条件による事前情報をもとに、計算によって位相回復を行い、物質のイメージングを行う手法である(Nature, 400, 342, 1999)。結像のための対物レンズを使用することなく、非結晶マテリアルに対しても適用可能であることから、X線、電子線、光学などの分野を超えた広がりを見せている(郷原 他、計測と制御、50、313、2011)。本研究では、回折イメージングにおいて、1枚の2次元回折データからステレオ3次元イメージングを可能とする、新たなアルゴリズムを開発する。そして、単層カーボンナノチューブを例として、具体的な実験条件を考慮した計算機シミュレーションを行い、電子回折イメージングによって、原子分解能でステレオ3次元イメージが得られることを検証する。 当該年度は、以下の2項目を具体的に進めた。 1.3次元回折イメージングのシミュレーション用プラットフォームの構築 2.位相回復の収束性に対する回折パターンの枚数依存性 研究は数値実験と理論解析を並行して進め、1枚の2次元回折パターンから3次元ステレオイメージが得られることを検証するために、実際の実験条件を考慮したシミュレーション用プラットフォームを構築し、再生像の回折パターン枚数依存性に関する予備的な検討を行う環境を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に行った2項目について記述する。 1.3次元回折イメージングのシミュレーション用プラットフォームの構築 検出器が平面の場合に、エバルト球上の回折強度と検出器で計測される強度の位置関係を考慮し、離散化誤差に注意することが重要であった。これはアルゴリズムを工夫することで最適なマッピングを行うことができた。試料を配置するオブジェクト空間、それとフーリエ変換の関係にあるフーリエ空間を行き来でき、これに回折イメージングのアルゴリズムを組み込んだ、3次元シミュレータを構築した。計算機のハードウェアはコアマシンを利用して3次元用に整備し、基本的な動作を確認した。 2.位相回復の収束性に対する回折パターンの枚数依存性 1で構築したシミュレータを使い、位相回復の収束性を示すRファクターなどの評価量によって、回折パターンの枚数依存性について予備的な検討を進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に行った2項目の結果をもとに、以下の2項目の研究を進める。 3.ステレオ3次元イメージング用アルゴリズムの構築 4.原子分解能でのアルゴリズムの有効性の検証 全研究期間に遂行した研究内容、残された課題などについてまとめ、全体を包括する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた、計算機関連消耗品が既存消耗品で代替できたため。 最終年度になることから、国際会議での発表のために支出する予定である。
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