研究課題
X線、電子線において、単一波長(エネルギー)の波が試料によって散乱されると、実験によって計測されるのは、散乱角度の範囲で、エバルト球を一部切り取った球上の回折強度分布である。試料の厚さが十分薄く吸収などが無視できる場合には、強度分布は原点に対して点対称性を持つ。エバルト球上に分布した回折強度は、散乱角度が小さいときには、2枚の平面と近似できることに着目し、回折イメージングにおいて、1枚の2次元回折パターンからステレオ3次元イメージングを可能とする、新たなアルゴリズムについて研究を進めた。これを用いて、単層カーボンナノチューブおよびグラフェンを例として、具体的な実験条件を考慮した計算機シミュレーションを行い、低加速電圧電子の波長領域において原子分解能なイメージングが可能であることを確認した。さらに、ステレオ3次元イメージングを可能とする新たなアルゴリズムを適用できる実験条件について検討した。具体的には、始めに、検出器の回折強度をエバルト球へ再配置する際、離散化誤差を考慮して、3次元回折イメージングのシミュレーションを行うためのプラットフォームを構築した。次に、試料を配置するオブジェクト空間、それとフーリエ変換の関係にあるフーリエ空間を行き来でき、回折イメージングのアルゴリズムを組み込んだ、3次元シミュレータを構築した。そして、構築したシミュレータを使い、位相回復の収束性を示すRファクターなどの評価量によって、回折パターンの枚数依存性について解析を行った。さらに、実際の実験条件を考慮し、構築したシミュレータによって、数値実験を行った。
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