研究課題/領域番号 |
25600136
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
江島 丈雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80261478)
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研究分担者 |
柳原 美廣 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40174552)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 軟X線顕微鏡 / 構造化照明 / 超解像 |
研究概要 |
13年度は、構造照明による超解像を利用した結像光学実験を行うために、構造照明を実現するための照明光学系の作製・評価と、試料を透過した光の位相情報を得るための位相検出装置の作製を行った。また、得られた像から数値計算により像を再構成するための準備を行った。 開発した照明光学系は、NA=0.25のトロイダル鏡の表面に、炭素の窓の波長4.5nmの光を反射するC/Coの反射多層膜をコートした。反射多層膜の設計により、トロイダル鏡の中心部での入射角77.2度で0.48の値を示し、その前後の入射角でも0.4から0.48の変化で収まった。結果として、トロイダル鏡上の反射面で入射角が異なっても、すべて同一の反射多層膜構造で対応できる反射多層膜を設計することができた。研究室内の蒸着装置を用いてトロイダル面上に反射多層膜を蒸着し、その反射率を、KEK、Photon Factory BL11Dの光学素子評価ビームラインを用いて測定した。トロイダル面上の各点でs偏光反射率の値が0.32以上となり、ほぼ設計通りの性能を満たした。 位相検出装置は、透過型回折格子とこの回折格子を回転させるための回転機構から成る。光軸調整を容易に行うため、透過型回折格子の回転は真空外からマニピュレータを通じて行うこととしていた。マニピュレータの作製は、設計を13年8月までに終了しすぐに作製にかかったが、光軸調整機構と回転を導入するための機構を両立させるための仕掛けが複雑になり、現時点ではまだ完成していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
構造照明を実現するための照明光学系の開発は計画通り終了したが、位相情報を検出するための透過回折格子を真空中で回転させるための回転機構の開発が遅れている。また年度当初に購入予定だった回転機構用の真空部品の購入は、回転機構の形状に合わせて購入する必要があるため、予算を今年度に繰り越すことにした。 一方で、得られた画像解析を行うために新たに専用のソフトウェアを購入し、ソフトウェア開発の負荷を減らすこととした。
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今後の研究の推進方策 |
14年度は透過型回折格子を搭載するためのマニピュレータの完成を急ぐが、間に合わない場合に応じて実験をおこなうために以下のような簡易的なセットアップを考える。当初の計画では真空槽の外側から光学アライメントを崩さずに回折格子を回転させる予定だったが、これをあきらめ回折格子を回転させるたびに光学アライメントを行うことにする。そのために市販の回転ステージを新たに購入し、その上に回折格子と試料を設置する。これをPhoton Factoryの光学素子評価ラインのBL11Dに付設されている反射率計のxyzステージ上に配置し、実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
位相情報を検出するための透過回折格子用のマニピュレータ開発に合わせて真空物品の購入を見合わせた一方で、画像解析を行うために新たに専用のソフトウェアを購入し、ソフトウェア開発の負荷を減らすこととしたため。 実験計画を変更し、回折格子を回転させるたびに光学アライメントを行うこととし、そのための回転ステージを新たに購入する。またこのステージに合わせた形状の透過型回折格子を購入する。実験は、Photon FactoryのBL11D光学評価ラインを予定し、その往復旅費を計上する。
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