放射光X線、中性子、ミョオンなどの量子ビームの相補利用により、より高いレベルの成果が得られることは予想されるが、成功例は少ない。ソフトマター研究における量子ビーム相補利用の開拓を行った。具体的な成果は、(1)放射光X線と中性子小角散乱より、高分子延伸結晶化における分子量の効果を調べ、低分子量成分が多く伸長鎖結晶に入ることを示した。(2)高分子薄膜のガラス転移を中性子反射率と低エネルギーミュオンにより調べ、ガラス転移温度の分布を明確にした。(3)高分子ゴム材料のダイナミクスを非弾性中性子散乱とミュオンスピン緩和法により調べ、フィラーによるダイナミクスの遅化を明らかにした。
|