新たなレーザープラズマ電子加速方式の可能性を探るための要素を検証する。すなわち、超高強度極短パルスレーザーと金属細線との相互作用により高強度短パルス表面電磁波を発生し、これを細線に沿って伝搬させることにより、表面プラズマ波を誘起し、これにより電子を細線方向に加速することを提案する。この可能性を示すための要素物理の検証として、まず、細線を伝搬するパルス表面電磁波の存在の有無の検証が本質的に重要である。 代表者らは極短パルスレーザーと薄膜との相互作用により発生・加速する電子パルスを位相回転器によりパルス圧縮し短パルス電子を生成した。この短パルス電子を金属細線近傍に直交させる電子偏向法により、細線近傍の電磁場を測定することに初めて成功した。その結果、レーザー細線相互作用点から表面電磁波が光速で細線に沿って伝搬していることが明らかとなった。さらに、細線の端を真空容器の外に導き、細線端外で電磁波の測定を行った結果、径方向の偏向をもつ電磁波であることが確認され、レーザー強度の増大とともに電磁波が増大されることも明らかとなった。これらの事象は、金属細線に垂直方向に電子雲を動かした時の、電磁場計算によっても確認された。 これにより、レーザーと金属細線との相互作用により、高エネルギー電子が加速され、それにより強い電磁波が発生し、その一部が金属細線に沿って伝搬する表面波のモードになること、および、この表面波により中低エネルギー電子が細線方向に誘導されることの確証が得られた。
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