研究課題
レーザー逆コンプトン散乱X線源・γ線源は、準単色な光子ビームを生成できかつそのエネルギーを比較的簡単に変更できるという利点があり、X線・ガンマ線を用いた非破壊検査や基礎物理学実験等において活用が進みつつある。しかし、レーザー光と電子を散乱させ、電子の進行方向に光子ビームを発生させる基本原理から、X線・ガンマ線の射出方向は電子の進行方向に限定される。電磁石等を用いて電子の進行方向を変えてそれに追随させるようにレーザー光を走査する手法は提案されているもののレーザー光学系の調整が複雑になるという欠点があったが、本研究で提案した回転楕円体光学ミラーとZ字型の電子ビーム軌道の組み合わせにより電子ビームとレーザーの衝突点を固定したまま電子ビームの進行方向とレーザー入射方向を容易に操作することが可能になる。これにより、X線・ガンマ線の射出方向の制御、また電子ビームとレーザーの相対衝突角度を制御することでX線・ガンマ線のエネルギーやエネルギー幅の制御が可能になる。本研究では、レーザーコンプトン散乱をもちいたX線・ガンマ線の生成に適した回転楕円体ミラーの設計・製作および衝突点近傍における電子線ビーム中心軌道の評価を行い、本提案システムによりレーザー逆コンプトン散乱X線源・γ線源に射出方向可変性を付与することができる事を示すことができた。この研究を実際の加速器システムに導入することにより、より高度なX線・γ線利用が可能になることが期待できる。
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すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)