レーザー生成プラズマ発光(LPP)によるEUV光源の基礎研究として、電子線をプリパルスとした、LPP法に関する研究を行った。LPP法では、波長10umのCO2レーザーをメインパルスとして、変換効率を向上させるために波長1umのYAGレーザーを用いている。本研究課題では、これを電子線に置き換え、試験を実施した。ターゲットとしては、金属スズ(Sn)板を用いた。LPPにおいては、ターゲット材料のイオン発光スペクトルによって特有の波長の発光を得ることができるが、今回は検出器等が容易に手に入る13.5nm帯のSnを用いた。これをGdなどに置き換えることによって波長帯をより短波長に拡張することが可能である。 電子線としては、レーザーフォトカソード高周波電子銃から得られるマルチバンチ電子ビームを用いた。最大15パルスのマルチバンチを照射した。電子線はエネルギー4MeV、サイズは半径1mm程度、電荷量はバンチあたり500pCを用い、レーザー光は最大700mJ、パルス幅400nsのCO2レーザーを用いた。両者の照射タイミングを調整することにより、最大発光を得られるようデータ取得を行った。結果として、電子ビーム10バンチ(約5nC)、レーザーよりも200ns(両者のピーク位置が重なっているタイミングを0とした)前に電子線を照射することによってLPPの発光効率を1.5倍程度向上させることを確認した。 明らかな効率向上が確認でき、電子線プリパルスが有用であると確認することはできたものの、CO2レーザーの強度・タイミング揺れなども大きかった。本研究課題の成果を礎に、CO2レーザーの性能向上、短パルス化、電子線増強によるシングルバンチでのプリパルス照射などを行うことによって、詳細な性能評価を行うことができると考えている。より広くパラメータを模索することによって将来的に電子線プリパルスLPP光源の可能性を模索していく。
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