1. X線自由電子レーザー(XFEL)光のプロファイルを高分解能で検出できるコンポジットCe:YAG素子を開発し、評価試験を行った。その結果、10keVのシングルショットのX線に対して、8μmの分解能が得られた。SACLAに使用されているX線用CCDベースのシングルショットの検出器では、空間分解能は50μm程度であったことと比較すると、大幅な分解能の向上が実現した。空間デコーディング法において、計測できる時間分解能は、検出器の空間分解能によって決定されるため、空間分解能の向上は超短パルスX線の評価に必須技術である。さらに、相互相関計測型周波数分解光ゲート法では、シングルショット計測かつFEL光の繰り返し周波数以上の性能が必要となる。本成果はX線領域においてもシングルショットかつ高繰り返し周波数、高空間分解能な検出器によって、空間デコーディング法によるフェムト秒時間分解計測が可能となったことを示唆している。 2.相互相関計測型周波数分解光ゲート法を用いたパルスキャラクタリゼーションに必要となる、XFEL光とコヒーレントフォノン誘起用のフェムト秒レーザー間のタイミングモニターの開発評価を行った。このことによって、両光源間のタイミングジッターによってショットごとにタイミングが異なるXFEL光とフェムト秒レーザーの照射タイミングを計測し、空間デコーディング法を用いた相互相関計測における時間原点を定義できるようになった。 3. 相互相関計測型周波数分解光ゲート法によるXFEL光のパルスキャラクタリゼーションを行うために必要な計測システムを計算、設計し、装置の立ち上げを行った。要素技術であるコヒーレントフォノン誘起フェムト秒レーザー、タイミングモニター、高空間分解能シングルショットXFELプロファイルモニター、透過型回折格子を組み合わせた計測装置を設計し、実験が実施可能な状態となった。
|