研究課題
本年度は、開発を進めてきたナノビーム回折から得られる回折データを解析する手法をサーモクロミック材料であるVO2ナノロッドや二次電池材料であるプルシアンブルー類自体の回折データに適用する研究を進めた。特にソフトウェアのグラフィックカードを用いた汎用計算(GPGPU)化を進め、通常のPCの100倍以上の速度を有するソフトウェアシステムを構築することに成功した。このシステムを用いて、VO2ナノロッドの解析を進めた。100nm以上のサイズの粒子の回折パターンをすべて原子として仮定して解析することが可能となり、粒径分布などこれまで粉末回折などから得ることが難しかったパターン情報を得ることに成功した。サーモクロミックガラス材料にこの方法を適用した成果を2016年の日本放射光学会で口頭発表した。この研究は欧米で盛んになりつつある、ホールパウダーパターンモデリングとトータルスキャッタリングの2手法を融合する可能性を持つものであり、材料科学者からX線光学の研究者までの幅広い分野の研究者から注目を集めた。さらに、類似の情報を計測可能な小角散乱などの研究者からも、詳細が聞きたいとの連絡を受けている。以上のようにナノサイズビームを利用している多くの研究者から反響があった。今後はこの手法を実材料の解析に利用する研究を開発と合わせて継続する。そのためには、計算機の能力アップが必須となるため、大型計算機センターの利用などさらに研究環境を拡充して臨みたい。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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