研究課題
本研究は,構造モデルと連続体モデルを結ぶ精緻化-単純化関係,厳密-近似関係を分析することで,メタモデリング理論を構築した.連続体力学理論と構造力学理論の原点に立ち戻り,両者が「重複する部分はあるもの,独自の体系を持つ理論」という通説とは異なり,「構造力学理論の中には連続体力学理論からに数理的な近似で導出できる理論があること」を証明することができた.棒・梁・板のような特定の形状を持つ部材に対し,構造力学理論では,釣り合い・変形の力学モデルを考案し,変位関数の支配方程式を導出している.この支配方程式が,連続体力学の支配方程式から,幾何形状の巧妙な単純化と変位関数の関数形の適切な近似によって,数理操作のみで導出しえることが証明された.上記の証明は,構造力学理論と連続体力学理論の間に,精緻化-単純化関係と厳密-近似関係があることに基づいている.従来,同一の構造物に対して,構造モデリング(棒・梁・板の支配方程式)と連続体モデリング(波動方程式)という,一見,異なるモデリングが適用されると考えられていた.しかし,精緻化-単純化関係と厳密-近似関係を利用することで,連続体モデリングの近似となる構造モデリングがあることが示された.構造物の挙動を予測再現する数値計算において,連続体モデリングと構造モデリングは,各々,ソリッド要素モデルと構造要素モデルとなる.モデリングが異なるため,ソリッド要素モデルと構造要素モデルが比較されることがある.メタモデリング理論によれば,このような比較は無意味であり,常に,ソリッド要素モデルがより正しい数値解となることが示された.しかし,これは,構造要素モデルを全面的に否定するものではない.構造物によっては,構造要素モデルが巧妙な近似解となり,ソリッド要素モデルと遜色のない数値解を与えうることも示された.
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
Journal of Japan Society of Civil Engineers
巻: 72, No. 4 ページ: I_98-I_109
10.2208/jscejseee.72.I_98
Procedia Computer Science
巻: 80 ページ: 1624-1634
10.1016/j.procs.2016.05.496
Journal of Pressure Vessel Technology, American Society of Mechanical Engineers
巻: 138 ページ: PVT-15-1184
10.1115/1.4033250
Journal of Earthquake and Tsunami
巻: 10 ページ: 1640014
0.1142/S1793431116400145
巻: 10 ページ: 1640015
10.1142/S1793431116400157
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/LsETD/
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/sensing_and_simulation/J/index.html