研究課題/領域番号 |
25600159
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
臼井 英之 神戸大学, その他の研究科, 教授 (10243081)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マルチエージェントシミュレーション / 粒子法 / 並列計算 |
研究概要 |
本研究では, 複雑な社会の動きや経済システムの数値解析を行う手法として注目を浴びているマルチエージェントシミュレーション(MAS)にプラズマ物理分野で用いられる粒子法の応用を試みる.粒子法では、空間にランダムに存在する膨大な数の粒子の情報をそれぞれ近くの空間格子点に配分し,その情報をもとに格子システム全体で環境変位を求める。更新された環境情報は再度各粒子に反映され、それをもとに粒子情報を更新する.この繰り返しにより粒子群とそれらが存在するマクロ環境が自律的に変化する. 本研究では、各粒子をエージェントに置き換えて,エージェントの自己組織化やマクロ環境の相互作用をよりセルフコンシステントに解き進めることにより,マルチエージェントシミュレーションの高機能化および大規模計算を目指す. 25年度は、これまで行われてきたMASプロジェクトの調査を文献ベースで行った.特にエージェントの定義や判断条件の設定方法、関数の内容について調査を行い, プログラムの特徴やエージェントの数値的取り扱いに関する知識を得た.これらの知識をもとに, MASがどのように粒子法を応用できるかについて検討を開始した.本研究では、エージェントを粒子に見立て、エージェントの属性や判断条件、関数などが粒子の位置や速度情報に相当するものと考える. これらのエージェント情報を粒子法と同様の手法でマクロ環境の定義点に反映させることにより, システム全体での環境更新を行う.変化した環境の情報を再び個々のエージェントに反映させエージェント属性や関数の修正を行う.これを繰り返すことにより人工社会におけるエージェントの自己組織化や現象の動向について解析を目指す.現状ではまだテストプログラムの作成までに至っていないが, 粒子法をMASに導入できるかどうかの検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MASに関する基本知識の取得は文献ベースではあるが進めることができた. 同時に, 粒子シミュレーションプログラムの改良についても検討を開始しており, 次年度に向けての準備は着々と進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
25年度の検討を元に, 26年度は簡単なモデルを用いて、MASへの粒子法の導入、実装を開始する. 作成したシミュレーションプログラムの動作テスト, テストシミュレーション実施する. また並行して, プログラムの並列化を試みる. 粒子法導入後のMASの分散並列, 特にプロセス並列化への応用を検討し試みる.プロセス並列では一般に領域分割手法が用いられるが、各プロセスに割り当て足られた領域に存在する粒子数が一定でないためプロセス間負荷不均衡が生じる.この負荷不均衡は並列高速演算においては大きな問題であり, これに対して何らかの方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
シミュレーション用サーバーマシンの購入を予定していたが、当該年度は既存サーバーで代用することができたため新規購入を控えた. また, 当該年度はMASに関する調査が主であったため, 経費の利用は最小限に抑えることができた. 次年度はシミュレーション解析およびその可視化のための計算機およびソフトウェアの購入とともに、関連学会参加による資料収集や関連研究者との研究打ち合わせのための旅費を計上している.
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