研究課題/領域番号 |
25610001
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
齋藤 幸子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40260400)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | K3曲面 / エンリケス曲面 / Hirzebruch曲面 / モジュライ空間 / anti-bicanonical曲線 / isotopy型 / marking / 周期領域 |
研究実績の概要 |
(1) 反シンプレクティック正則対合を持つ実K3曲面のモジュライ空間の研究における重要な例として,S=U+<-2>型の場合について,実Hirzebruch曲面 RF_4上の1つ2重点を持つ anti-bicanonical曲線の実isotopy型の分類に応用する研究を継続し,実isotopy型の分類完成のための重要な結果を,昨年(2013年)度に論文にまとめ,Journal of Singularities に投稿していたが,今年(2014年)度に掲載許可(accept)の返事を受け,2015年の11巻,1-32ページに掲載された.2014年4月初めに修正版を投稿後,5月初めに掲載許可の返事を受けたが,なお小さな修正を要請されたため,その修正に取り組み,7月に最終稿を提出した.査読者とのやりとりによって,markingと周期領域の定式化の見直しに至り,今後の研究継続のための問題点が明確になった. (2) 2014年8月に「第2回K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ」を,旭川国際会議場で,連携研究者の瀧氏(東京電機大学),大橋氏(東京理科大学)とともに主催し,K3曲面・エンリケス曲面周辺の最新の研究結果について,討論,情報交換を行った.そこでは,金銅誠之氏(名古屋大学)に, Igusa quartic and Borcherds products,Neron-Severi lattices of supersingular K3 surfacesに関する講演をして頂き,勉強した.また,松下大介氏(北海道大学)の協力により,昨年とは異なる新たな講演者(植田一石氏,真瀬真樹子氏,Malte Wandel氏ら)に得て,今度の研究テーマや研究の関連性を探ることができ,大変有益であった. (3) 2015年1月に旭川で研究集会「接触構造,特異点,微分方程式及びその周辺」を開催した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1) 論文を雑誌に投稿した際,査読者とのやりとりにより,markingと周期領域の定式化の見直しが必要であることがわかり,これに関する知識不足を認識したため,基礎的な文献の読解を行っているが,なかなか進まない. (2) 非特異曲線の退化と関連して,Picard-Lefschetz型公式や消滅サイクルについての過去の研究についても調べたいが,自身の求める形のものを見つけていない. (3) 非特異曲線の退化とコクセターグラフの関連性について基礎知識を習得したいが,コクセターグラフに関する文献の読解さえ難航している. (4) 国内での研究集会の開催に追われ,海外にいる関連研究者との連絡をまだ行うことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
(1) markingと周期領域の定式化の見直しを続行する.これに関する基礎知識を確かにして,研究を進める. (2) 非特異曲線の退化と関連して,Picard-Lefschetz型公式や消滅サイクルについての過去の研究についても調べるため,この分野の研究者を見つける.他大学の図書館で文献を収集する. (3) コクセターグラフに関する文献の読解を続行する. (4) 海外の研究者にメールで連絡をとり,博士論文などのネット上で公開されていない文献を請求する.
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