研究課題/領域番号 |
25610003
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
浅芝 秀人 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70175165)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 線形圏 / グロタンディーク構成 / ラックス関手 / 導来同値 / 軌道圏 |
研究概要 |
1. 群Gの線型圏Cへの作用は、群から線型圏全体のなす2圏k-Catへの関手Xと見ることができ、その場合、軌道圏C/Gは、Xのグロタンディーク構成Gr(X)と一致するが、これを、圏Iからk-Catへの反転ラックス関手Xに拡張して、これまで考察してきた。しかしこのGr(X)の形では、三角多元環やspeciesのテンソル多元環として与えられる圏を実現することができない。2圏 k-Catのかわりに、その1-射を両側加群に取り替え、2-射を両側加群の間の準同型に取り替えて得られる倍圏 (bicatgegory) k-Catbを考え、Gr(X)の定義をラックス関手X: I→ k-Catbにまでうまく拡張すれば、この不備を補うことができることが分かった。 2. そこでまず、ラックス関手I→ k-Catbの全体に2圏構造を与え2圏Lax(I, k-Catb)を構成した。さらに、グロタンディーク構成を2関手Gr: Lax(I, k-Catb) → k-Catに拡張し、これが対角2関手Δ: k-Cat → Lax(I, k-Catb)の左随伴であることを示した。G被覆の一般化としてI被覆を定義し、上の随伴のユニットが自然なI被覆X → Δ(Gr(X))を与えることを示した。 3. ラックス関手X: I→ k-Catbの”加群圏” Mod Xとその”導来圏”D(Mod X)というラックス関手を自然に定義し、ラックス関手X達の間に導来同値の概念を定義した。 4. 2つのラックス関手X, X’: I→ k-Catbが互いに導来同値であれば、それらのグロタンディーク構成Gr(X)とGr(X’)も導来同値となる、という圏作用のもとでの被覆理論の主定理を証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グロタンディーク構成の逆に相当するスマッシュ積に関する研究が進展していないが、小圏Iからk小圏全体とそれらの間の関手のなす2圏k-Catへのコラックス関手X:I→k-Catに対するグロタンディーク構成Gr(X)とその導来同値に関する基本定理を、Iからk小圏全体とそれらの上の両側加群のなす倍圏k-Catbへのラックス関手に拡張することができた。これにより、理論の適用範囲が飛躍的に拡大した。
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今後の研究の推進方策 |
k小圏Cをクイバー表示したとき、そのクイバーの矢に群Gによる次数を付けることによってCのG次数付けが得られる場合に、スマッシュ積C#Gのクイバー表示を与える、という問題に取り組む。これによって具体例が計算できるようにする。また、標準G被覆 C#G → C の押し出し関手として定義される、C#G上の有限生成射影加群の有界ホモトピー圏H(C#G)からC上のそれH(C)へのG前被覆関手と、H(C)の傾部分圏との関係を詳しく調べる。 昨年度と同様に、伊山修(名古屋大学教授)を連携研究者、玉木大(信州大学教授)を研究協力者として研究組織を構成する。前者は傾対象の構成を担当し、後者は必要な2圏論の専門知識を提供する。情報収集および関連する分野の研究者との交流のために、「環論および表現論シンポジウム」と中国で開催される「多元環の表現論国際会議」に出席し、成果を発表する。そのため経費は主に旅費に用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月に注文した物品が品不足のため,年度内に入荷しない可能性が大きくなった。そのため急きょ,別の物品に注文を変えたが,予算が少し残った。少額のため翌年度に送ることにした。 少額のため,翌年度での物品購入に充てることで使い切ることになる。
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