研究課題/領域番号 |
25610009
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
納谷 信 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (70222180)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 強擬凸CR多様体 / Rumin複体 / ボホナー・ワイツェンベック型公式 / 四元数CR多様体 / ツイスター空間 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、強擬凸CR多様体のRumin複体に対するシャープなボホナー・ワイツェンベック型公式を書き下すことを目標に研究を行った。昨年度、1形式の場合のRuminの書き下したシャープな公式の劣ラプラシアンの正の第1固有値のシャープな評価の簡明な別証明という応用を見いだしたことを動機として、同評価の従来の証明で用いられたボホナー公式とRuminの公式の比較検討を行った。そして、この考察を通じて高次の場合への知見を得るとともに、Ruminの公式が使えない3次元の場合にも、シャープなボホナー公式を見いだすことを目指した。その結果、他の証明で使われていたCR Paneitz作用素とよばれる4階の線形偏微分作用素をRumin複体に現れる境界(および余)境界作用素という1階の作用素の合成として表示することができた。 また、昨年度に引き続き、四元数CR多様体のツイスター空間上に自然なCR構造を定めることを目標に研究を行った。とくに、四元数CR構造の可積分性の定義を実質的に強めることにより、概CR構造がwell-definedに定義できることが証明できた。また、この概CR構造が部分的可積分性をもつ(partially integrable)ことを証明した。この研究は鎌田博行氏(宮城教育大学)との共同研究である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
四元数CR多様体のツイスター空間上に自然なCR構造を定める研究は、その部分可積分性を証明する等、実質的に進展をみた。一方、強擬凸CR多様体のRumin複体に対するシャープなボホナー・ワイツェンベック型公式の研究はCR Paneitz作用素への新たな知見は得られたものの、本課題本来のシャープな公式の追求という観点からは、期待しただけの成果が得られていない。
|
今後の研究の推進方策 |
劣ラプラシアンの正の第1固有値のシャープな評価において等号が成立する場合のRumin複体による解析を進めるとともに、高次形式や3次元における1形式の場合にシャープなボホナー・ワイツェンベック型公式を追求する。また、四元数CR多様体のツイスター空間上に部分的可積分性をもつ概CR構造を定めることができたので、それがフルな可積分性をもつことの証明を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
少額が残ったため27年度に合わせて使用する方が適切と考えたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
27年度の交付額と合わせて使用する。
|