研究課題
昨年度に引き続き、四元数CR多様体上のツイスター空間に(可積分な)CR構造を定めることを目標として研究を行った。昨年度までの研究において、ツイスター空間が多様体として定義でき、さらにその上に概CR構造が定義できて部分可積分(partially integrable)になることまでが証明できていた。今年度は、この概CR構造が真に可積分になることを証明することを目指して研究に取り組んだ。ツイスター空間の接空間は水平方向と垂直方向に分解するが、このうち水平方向は基底にある四元数CR多様体の接空間と線形同型であり、その余次元3部分空間(四元数構造をもつ)と補空間への分解に対応して、水平方向も分解する。したがって、ツイスター空間の(CR構造の一部である)余次元1部分束の切断は、3つの成分に分解することになり、2つのそのような切断に対するナイエンハイス表示の消滅を示すには、全部で6つの場合を扱う必要がある。我々はこのうち5つの場合についてナイエンハイス表示が実際に消滅することを確認することができた。その際、昨年度の研究において見直した四元数CR構造の可積分性の定義をさらに補充する必要があった。今後、可積分性の定義をさらに検討することにより、残された1つの場合にナイエンハイス表示の消滅を確認し、CR構造の可積分性の証明を完結させる。この研究は鎌田博行氏(宮城教育大学)との共同研究である。また、強擬凸CR多様体のRumin複体に対する調和微分形式やボホナー・ワイツェンベック型公式について昨年度までに得られた成果を論文にまとめる作業に取り組んだ。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
Proceedings of the 4th International Colloquium on Differential Geometry and its Related Fields, Veliko Tarnovo, Bulgaria, 2014
巻: None ページ: 93--114
10.1142/9789814719780_fmatter