研究課題/領域番号 |
25610012
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
満渕 俊樹 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80116102)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | テスト配位列 / K-安定性 / 偏極代数多様体 / Donaldson-二木不変量 |
研究概要 |
平成25年度は,テスト配位のモジュライ空間の自然なコンパクト化を構成するために,まずはそのモジュライ空間の完備化を考えた.そして各テスト配位に対して定義されるDonaldson-二木不変量を,テスト配位列全体の成すモジュライ空間上で定義された不変量に拡張することに取り組み次の結果を得た: (1)論文「The Donaldson-Futaki invariant for sequences of test configurations, arXiv:1307.1957」において,このような拡張が可能であることを示し,さらに一般の偏極代数多様体において強K-安定性という概念を導入した.特に正則自己同型群が離散的でかつ定スカラー曲率ケーラー計量をもつような偏極代数多様体は強K-安定である.これらの結果はBirkh\"auser社から出版される小林記念論文集に掲載予定である. この新しく導入された強K-安定性の概念が,以下のように漸近Chow安定性と深い関係があることが分かった: (2)新田泰文氏(東工大)との共著「Strong K-stability and asymptotic Chow stability, arXiv:1307.1959」で,一般の偏極代数多様体に対して,強K-安定性から漸近Chow安定性が従うことを示した.この論文は現在査読中であるが,この結果を用いると強K-安定性の仮定の下に,balanced計量の列が得られるので,これは定スカラー曲率ケーラー計量の存在問題において非常に重要な役割を果たすと思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テスト配位列の仮想極限点を詳しく考察するためにも,その研究の基礎となる種々の道具を整える必要があった.上記研究実績の概要の(1)において,Donaldson-二木不変量を,テスト配位列全体の成すモジュライ空間上で定義された不変量にまで拡張することに成功した.また,研究実績の概要の(2)において,このDonaldson-二木不変量の拡張に際して定義される強K-安定性が非常に良い性質を持っていることが分かるので,我々の研究の進展はまずまず順調に推移していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
我々の研究課題に関連する種々の話題についての勉強会を繰り返し開き,知見を深めるとともに問題を煮詰め,研究目的達成への道筋を着実に確立する計画である.一方で,関連の書籍のみならず,計算機ソフトや計算機関連の備品も購入して,我々の研究を基礎から支える備品や消耗品として大いに活用したい. また,日中友好幾何学研究集会,Pacific Rim Complex Geometry Conference,菅平での複素幾何国際シンポジウム等を組織することによって,情報収集のみならず研究成果の発表も行い国際的なレビューを受けたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が中心的オーガナイザーをつとめる平成26年度の菅平複素幾何国際シンポジウムは,例年より大規模なものを開催する予定にしている.そのための経費を一部捻出するために,さかのぼって平成25年度の当該科研費の使用を控えめに抑えた. 次年度使用額の部分の使用計画としては(物品費およびルーチンの勉強会や研究集会開催のための経費以外については)主に平成26年度に菅平で開催する複素幾何国際シンポジウムの旅費等に充てる予定である.
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