研究課題/領域番号 |
25610014
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
今井 淳 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70221132)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 幾何 / 最適化 / ポテンシャル / min-max |
研究実績の概要 |
結び目、曲面と、3次元ユークリッド空間内のコンパクト体のRiesz αエネルギーの Hadamard 正則化を研究した。発散積分を解析接続し、その留数を求めることにより、Hadamard 正則化における級数の負冪と log 項の係数の最初のいくつかを求めた(スペイン、バルセロナ自治大学のジル・ソラネス氏氏との共同研究)。結び目、曲面については、Brylinski, Fuller-Vemuriの係数の間違いが分かった。 最適美術館問題のプログラム作成については、第一歩となるものの作成を依頼し、完成した。これは、部屋(領域)が多角形、カメラの台数は5代以下で、ポテンシャルとして、min-max的なもの、つまりRieszポテンシャルのパラメータαが+∞の場合のものを、各々のカメラのボロノイ細胞に適用する、という条件の下で、最適美術館問題を解くプログラムである。ただし、この制限の下でも、まだ改善する余地は残っていると思われる。 関連する問題(球面の結び目のエネルギーを減らすように結び目を変形する問題)のプログラムも外部に委託していて、一部改善の余地があるものの、プロトタイプ的なものは完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的欄に記した、一般Rieszポテンシャルについては、「繰り込み」と書いたものが、超関数論でHadamardの有限部分、またはHadamard正則化と呼ばれるものと本質的に同じであることが分かった。そこで、発散積分から有限な値を得るために、超関数論で知られているもう一つの方法、つまり解析接続を用いる方法についても研究した。Hadamard正則化で級数展開したときの係数、もしくは解析接続をしたときの留数は、曲率などの幾何的な量で決まってくる。そのために有用な公式を見つけ、その計算を進めることができた。 最適美術館問題のプログラム作成については、一番簡単な場合についてのプログラムのプロトタイプを作成することができた。今後改善の余地はあるものの、研究の第一歩は確実に踏み出すことができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
Riesz αエネルギーの Hadamard 正則化については、現在進行中のソラネス氏との共同研究を継続し、いろいろな係数の計算を遂行する。また、現時点で分かっている範囲(曲線、曲面、および3次元コンパクト体までについて)で、このような方法で得られる量が、積分幾何学のvaluation理論であつかうquermassintegral(内在的体積)を全て含むことが分かったので、これが一般にも成立するかどうか、つまり、内在的体積はすべて、Rieszエネルギーの解析接続の留数から得られるかどうかを調べたい。 最適美術館問題のプログラム作成については、6月末から7月にかけての1週間、九州大学のマス・フォア・インダストリ研究所に短期研究員として滞在する予定なので、佐伯氏他と、最適化についてディスカッションし、プログラムの改善に役立てたい。また、現在は一番簡単なポテンシャルについてのみにしかできていないので、一般のポテンシャルについてもできるようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題と関連する数値実験のためのプログラム作成を50万円でWolfram社に依頼していた。そのプロトタイプ的なものは出来たのだが、支払方法に、Wolfram社が外資であることに起因する困難が生じたため、平成26年度中の支払いができなかった。そのため、支払を27年度に回した。 支払の困難とは、東京支社または日本代理店を通じた日本円での支払いが、出来ないため、申請者がドル建てで立て替え払いで送金するしか方法がなかったことが分かったのだが、時期的な問題もあり、それを26年度中に遂行することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に予算を執行できる時期になったら、上述の方法、つまり申請者がドル建てで立て替え払いで送金し、50万円をWolfram社に支払う予定である。
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