変形量子化理論の手法を用いた非可換幾何学の構築を発展させ、場の量子論への応用をおこなうことを目的とした。そのために、1)変形量子化問題(特に非可換積の収束性)を場の理論に用いられるような設定を行うこと、2)次数つきポアソン構造と無限次元ポアソン構造の量子化問題、3)非可換モジュライ空間とその非可換不変量、4)ディラック構造や一般幾何学(generalized geometry)の量子化問題とT双対性問題、5)ループ空間の幾何学とgegularizedチャーンクラス、6)フロベニウス代数・圏論・オペラドとコホモロジー的場の理論、7)超ケーラー多様体と量子BCOV理論を重点においた研究を進めた。平成26年以降に本格的に進める「非可換」場の理論へのために、素粒子物理学、代数幾何学等の研究者との討論を行い、Non-formal deformation quantizationの研究、複素領域や複素シンプレクティック多様体での変形量子化の手法を、本研究に活用できるような形で推進した。称空間のUniversal Deformation Formula(UFD)の具体的な構成、ケーラーおよびシンプレクティックリー群の構造理論、超ケーラー多様体、一般幾何学等幾何学構造へ応用していく。これらの研究はルーバン大学のP.Bieliavskyほかベルギーの海外研究者他との共同研究として進めた。超弦理論におけるAモデルおよびBモデルの観点から、リーマン面のモジュライ空間の量子化問題として、無限次元空間からのリダクションを変形量子化として行っていく過程で発散の問題が生じる。これを解消するためrenormalizationの方法を開発した。Siye Li が開発しているElliptic curve についての量子BCOV理論と高い種数をもつBモデルの理論によるrenormalizationについて、変形量子化の立場から討論を行った。3年間の研究成果についての成果を公表して、それらについての評価を得る予定である。
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