研究課題/領域番号 |
25610017
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
相川 弘明 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20137889)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Harnack不等式 / 除外集合 / 境界Harnack原理 / IU / 容量的幅 |
研究概要 |
除外集合を許したHarnack不等式を確立し,グラフで表される領域に応用した. 複雑な領域に対するポテンシャル論的性質として,境界Harnack原理と熱半群に対するIntrinsic Ultracontractivity(IU)がある.Intrinsic Ultracontractivityは放物型境界Harnack原理と呼ばれることもある.どちらの性質も解析的および確率論的な定式がある.境界Harnack原理より,Intrinsic Ultracontractivityの方がより一般の領域に対して成り立つことが知られている.グラフで表される領域で言えば,境界がHolder連続グラフで表されるとき,境界Harnack原理が成り立ち,境界がLp関数のグラフで,pが次元-1より大きいときIntrinsic Ultracontractivityが成り立つ.とくにLp関数のグラフで表される領域は通常の滑らかさはなく,普通のHarnack不等式はまったく役に立たない.このような場合に除外集合を許したHarnack不等式が有効であることを示し,Green関数のレベルセットの容量的幅を評価することに成功した.この容量的幅の評価を放物型箱議論を組み合わせることにより,Intrinsic Ultracontractivityを示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Intrinsic Ultracontractivityは今まで対数的ソボレフ不等式を経由して得られていたが,除外集合を許したHarnack不等式,容量的幅,放物型箱議論による全く別のアプローチを得ることができた.今までの数多くの論文を別の観点から見直すことにより,新しいsolutionや問題が見つけられると思われる.この結果は投稿中であるが,査読者からは好意的なレポートが返ってきており,採用されるものと期待される.また,国内外の研究集会・セミナーで発表し,多くの有用なレビューを受けることができている.
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今後の研究の推進方策 |
除外集合を許したHarnack不等式をユークリッド空間で確立している.今後は幾何学的一般化,方程式の一般化,非線形化が考えられる.幾何学の観点からはWidely Accessibleという概念が既に提唱されており,この方向への一般化は比較的短時間で可能と思われる.方程式の一般化については,線形の範囲では想像がつくが,非線形の場合には多くの困難があり,周辺を固めながらじっくりと取り組む必要がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
残りが少額のため,翌年度に繰り越した. 繰り越しは少額のため,当初の予定通り執行する.
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