研究課題/領域番号 |
25610019
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内田 素夫 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10221805)
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研究分担者 |
本多 尚文 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00238817)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 境界値問題 / 超局所解析 |
研究実績の概要 |
SchapiraとSchneidersは柏原の構成可能層の指数定理に倣い,D加群と実構成可能層の対が楕円的である場合にその特性サイクルを定義し,其れを用いてD加群と実構成可能層の対に対する指数公式を証明した。この結果からアティヤ・シンガーの指数公式の代数解析的な証明が与えられる。本研究はSchapiraとSchneidersの楕円対の理論の境界値問題への一般化或は発展として,境界値問題の指数公式を代数解析的な枠組に於いて(最も一般的な形で)記述することを目指すものである。代数解析的視点に立ったこの方向の研究は基本的なものであるにも拘らず,現在に至るまで国内外双方に於て全く試みられておらず,その学術的意義は大きいと考える。D加群と実構成可能層に対する境界値問題を定式化し,ある種の楕円条件の下で解複体の正則性と(台のコンパクト性を仮定して)大域コホモロジーの有限性を示す所までは,研究協力者であるPierre Schapiraとの共同研究で現時点までに大略完成した。この結果を踏まえた上で,D加群と実構成可能層の対に対して境界値問題に於ける特性サイクルの類似物を定義し,其れが大域コホモロジーの指数公式を記述することを明らかにしたいと考えている。前述のように,本研究課題は(一般に過剰決定的な)楕円型境界値問題に対してその指数公式を代数解析的且つ超局所解析的に(層とD加群の言葉で)定式化し,超局所解析的な視点からその証明を与えることを主たる目標とする。そのためには,層とD加群のことばで楕円型境界値問題の枠組を正しく(ad hocでない形に)定式化し直し,その基礎理論の整備を行なう必要があり,今年度はその定式化・整備に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
得られた結果を整理・再検討する時間が十分でなかった。
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今後の研究の推進方策 |
D加群と構成可能層の境界値問題における正則性と有限性について,今年度までに得られた結果を改めて詳細に検討し,まとまった結果を整理して発表する。並行して境界値問題に於ける特性サイクルの類似物の構成のためにより適した定式化を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要額のみを使用したため。
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次年度使用額の使用計画 |
備品(コンピュータ等),消耗品(主に学術図書等),研究打ち合わせ,研究成果発表のための旅費に使用する。
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