研究課題/領域番号 |
25610027
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小澤 徹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70204196)
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研究分担者 |
田中 和永 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20188288)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 函数方程式 / 函数空間論 / 変分解析 |
研究実績の概要 |
質量共鳴条件を満たすような非線型シュレディンガー方程式の連立系では、従来よりも一般の相互作用の系をラグランジュ形式で定式化し、連立系がオイラー・ラグランジュ方程式として導出されるようなラグランジアンを具体的に書き下す事が出来た。即ち、このことにより、二次の相互作用だけが本質的ではなく、高次の相互作用も同様に捉えられるばかりか、三波相互作用まで取り込める事を示す事が出来た。従って、相互作用における波動函数の複素共軛の存在が本質的であると云う事情を、より一般の立場から記述する事が可能となった。半相対論方程式系にたいしては、フーリエ制限法(ブルガンの方法)に自乗可積分函数の成すヒルベルト空間L2上の内積の計算を導入することによって、波の振動現象を直交性の観点から制御し、一段と精密な結論を導くことが出来た。これは、フーリエ制限法に新たな視点・方法論をもたらすものである。
また、従来のコンパクト性の議論を、エネルギーの観点から導かれる自然な一様評価と弱いノルムにおけるコーシー列の証明を組み合せることで議論を再構成し、新たな解析学的な枠組を提示することが出来た。この方法は、コンパクト性に基づく存在定理を有界性と完備性を組み合せた存在定理に転換するもので、全く異なる発想に基づいたものである。計算は多少必要となるが、応用が広い上に初等的である。更に、基礎となる空間が有界でない場合にも有効なので、外部問題にも適用可能となるので今後の発展が期待できる方法と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初目標としていた課題のうち、重要な部分について新たな知見を得る事が出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、平成26年度の研究計画の方向性に基づいて研究を行う。進捗状況に応じ、適宜新たな方向に検討範囲を修正・拡大して研 究を進める。平成26年度で得られた研究成果を踏まえ、新たに研究課題として取り上げるべきものが出て来れば本研究計画に積極的に 取り入れる。研究遂行上の必要性に応じて研究分担者・連携研究者を新たに加える事もあり得る。国内外の研究状況を把握し、新たな 展開や最新の情報の収集に努める。研究計画の進捗状況に応じて、必要となれば研究計画の見直しを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書などの洋書や物品費、旅費が当初の予定よりも安価で済み、 次年度使用額が生じたが、研究発表および分担者との研究グループ強化のための 旅費に加える計画である。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の研究目的を達成するために、正規型変換理論、変分解析、非相対論的極限の三つの 研究グループを構成し、独自の研究を推進すると共に、他の研究グループの対応する理論・ 方法論・研究成果を全体像として理解するための研究体制を整備する。
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