二次の非線型シュレディンガー方程式の連立系に対して、ラグランジアンを具体的に見出した。これにより、シュレディンガー方程式の連立系における質量共鳴のラグランジュ幾何からの把握が系統的に出来るようになり、二次の相互作用における波動函数の複素共軛の存在が本質的である事が説明可能となった。また、質量共鳴に伴う単色波振動因子の持つ位相変調により得られる楕円型方程式系を変分問題として定式化し、空間次元に関して2次元以上5次元以下ではコンパクト性及び再配列理論を用いる事により、また、コンパクト性が丁度失われる6次元では、スケーリングの議論を用いる事により、その基底状態の存在と本質的な一意性を示す事が出来た。更に、質量共鳴条件下で初期データの大きさを任意に小さく取っても解の爆発現象を生み出す相互作用を、ホップ・コール型の変換に基づいて具体的に書き下す事が出来た。更に、質量共鳴条件に現れる質量比と爆発率との密接な関係を、初期データの大きさの観点から特徴づけた。また、初期データが空間遠方で指数函数的に減衰している場合に、質量共鳴条件下で時刻 t ≠ 0となった途端、解が解析的になるという現象を定式化した。同時に、連立系の波動函数の収束半径に相当するパラメータの比が質量共鳴条件に現れる質量比と一致することも見出し、質量共鳴と解の解析性との関係に関し、新たな知見を得た。
半相対論方程式系に対しては、フーリエ制限法(ブルガンの方法)に自乗可積分函数の成すヒルベルト空間上の内積の計算を導入することにより、波の振動現象を直交性の観点から制御し、精密な結論を導いた。これは、フーリエ制限法に新たな視点・方法論をもたらし従来のコンパクト性の議論を、エネルギーの観点から導かれる自然な一様評価と弱いノルムにおけるコーシー列の証明を組み合せることで議論を再構成し、新たな方法論を提示した。
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