定常時空間確率場において不等間隔地点(時点)で観測されるデータに対して、ノンパラメトリックおよびセミパラメトリックな検定統計量を提案し、その理論的性質特に大標本になる場合の漸近的性質について研究した。 データが不等間隔地点(時点)で観測され、なおかつそれらの地点(時点)が固定されておらずランダムな場合、真の確率場が正規確率場であっても観測値の同時確率分布は多変量正規分布にはしたがわない。したがって検定統計量の帰無仮説の下での極限分布の導出は、観測地点(時点)が固定されている場合に比べ格段に難しくなる。極限分布の導出には未だ至っていないが、それが正規分布にしたがうとの仮定の下では、その期待値と分散は未知の量には依存せずスペクトル密度関数の推定に用いられるカーネル関数のみに依存する簡潔な形に表現できることを示した。極限分布の導出については、下記の国際研究集会で講演した際に、Prof. Suhashini Subba Rao(Texas A and M Univeristy)より有益な示唆をいただき、現在鋭意努力中である。極限分布が導出できれば、データが大規模になる時空間データへの応用においても有用な結果であると期待できる。 また推定においては推定量が一致性を持つためには、モデルにおいてパラメータの識別条件が 必要になるが、検定においてはモデルのパラメータが識別条件を満たさなくても、検定統計量は対立仮説の下では発散し、検定の意味において一致性も示せると予想している。 現在はさらに厳密分布に対する極限分布による近似とブートストラップ法による近似との優劣についても研究中である。
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