研究課題/領域番号 |
25610038
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
馬場 直志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70143261)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光学赤外線天文学 / 系外惑星 / ステラコロナグラフ / ナル干渉 |
研究概要 |
本研究では、太陽系外惑星を直接検出するナル干渉型ステラコロナグラフにアダプティブ(適応型)位相マスクを導入することを提案し、計算機シミュレーションおよび試作器により、その性能を実証することを目的としている。今まで、ナル干渉型ステラコロナグラフに開発されてきたのは、静的かつ堅牢な位相マスクであった。本研究で目指すのは、観測条件・環境の変化に柔軟に適応でき、かつ、雑音成分に埋もれがちな太陽系外惑星像を明確に検出できるように、アダプティブな位相マスクを考案し装置開発することである。これにより、恒星近傍にあり恒星に比べて極めて暗い地球型惑星をも直接検出できるようにする。アダプティブな位相マスクとすることで、時間的変調も可能となり太陽系外惑星像をスペックル雑音と分離して検出可能となる。 本年度においては、アダプティブ位相マスクの設計を行うために、計算機シミュレーションを重点的に行った。位相マスクにおける適切な位相分布を定めるために、瞳面の強度分布から像面での位相再生を行う必要がある。この位相再生にGerchberg-Saxtonのアルゴリズムをベースとして実行したが、未だ所要の成果が得られていない状況である。 位相マスク型コロナグラフでは、副鏡やスパイダーの陰が問題となるが、補正板の使用で解決する目途がある程度得られた。補償光学(AO)における波面残差エラーと位相マスクでの位相補正については、連携研究者でAO専門家の北見工大三浦教授と協議を行った。 アダプティブな位相マスクは液晶で作製することを想定している。この液晶素子をデザインするにあたっては、計算機シミュレーションの成果を踏まえながら検討を進めている状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
工学研究院長としての職務が膨大であったため、研究に携わる時間が大幅に限定されたためである。平成26年度以降においては、職階が特任教授となるため、研究に専念できる時間が増える。
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今後の研究の推進方策 |
瞳面強度分布からの像面での位相再生に、Hybrid Input-Outputアルゴリズムの導入を図り、アダプティブ位相マスクの設計に役立てる。市販の液晶空間位相変調器の特性を調べるとともに、シチズンに新たな液晶空間位相変調器開発の可能性について打診する。 AOの性能向上については、連携研究者の北見工大三浦教授と協議を重ねていく。光学実験については、連携研究者の村上助教と検討する。また、開発するシステム全体に関しては適宜連携研究者の田村教授と議論する。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末決済に間に合わなかったため。 次年度における物品費、旅費、および謝金に繰り入れて有効に使用する。
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