太陽系外惑星を直接検出するために種々のステラコロナグラフが開発され、観測が行われてきている。しかしながら、現在まで直接検出できているのは、恒星から遠く離れた大型の惑星のみである。いわゆる第2の地球を検出できていない。地球型惑星の直接検出を阻む要因としては、ハビタブルゾーンにある系外惑星は恒星から比較的近傍に位置すること、および、恒星に比べて極めて暗い(強度比で10のマイナス10乗程度)ためである。太陽系外惑星の直接検出用に色々なステラコロナグラフが考案されてきたが、地球型惑星を検出する有望な方法として、恒星の光を打消し合う干渉状態とするナル干渉型ステラコロナグラフがある。このナル干渉型ステラコロナグラフは、望遠鏡が完全な円開口で恒星光が波面の乱れなく焦点面においてエアリー回折像を形成する場合、恒星光を完璧にブロックできる。しかし、実観測ではこのような理想的な状況とはならない。 本研究では、実観測の状況下で使用できるような位相型マスクコロナグラフの開発を目的とした。本年度の研究においては、望遠鏡に副鏡やスパイダーの影の影響があっても恒星光を十分に消光できる位相マスクの開発をハイブリッド・インプット・アウトプット法を駆使して行った。ハイブリッド・インプット・アウトプット法の適用に当たっては、ヒィードバックコンスタントの取り方が結果に大きく作用することが分かった。得られた位相マスクでは、消光性能が10のマイナス13乗となるものの、かなり複雑なパターンとなっており、液晶などで作製できるかが問題となる。位相マスクの設計に、種々の拘束条件を課する良い方法を見出すのが今後の課題になると思われる。
|