研究課題/領域番号 |
25610040
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥村 曉 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (90645011)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 天文学 / 強度干渉計 / ガンマ線 / 宇宙線 |
研究概要 |
25 年度始めに共同研究者と開発を行った焦点面カメラモジュールが完成し、その試験を名古屋大学、SLAC、レスター大学の共同で行った。このカメラモジュールに搭載されている集積回路は TARGET 5 と呼ばれるものであり、この集積回路の性能試験も含む。この試験の過程でいくつかの改善すべき点が発見されたため、新たに TARGET 7 と呼ばれる集積回路の開発も行い、その性能評価用基板を製作し 25 年度末に受け取ることができた。トリガー性能の評価、サンプリング速度の安定性、測定電圧のダイナミックレンジとノイズの評価を行っているところである。 また名古屋大学、カリフォルニア大学サンタクルーズ、レスター大学の共同でシリコン半導体光検出器の性能の温度依存性や印加電圧依存性の測定を行い、CTA 計画での運用上問題のないことが分かった。光検出器の光検出効率を既存製品よりさらに高めるため、光線追跡シミュレーションを用いて収集効率を高める手法を新たに開発した。これが実際の製品に使用できれば、望遠鏡主鏡面積を 10% 以上大きくするのと同じ効果を得ることができる。 以上の測定やシミュレーションを行うにあたり、ハードウェア制御のソフトウェアと光線追跡シミュレーションソフトウェアの開発を C++ で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定にはない集積回路の新規開発が加わり試験項目が増えたこと、またバックプレーンボードの開発の遅れのため、当初計画にあった時刻精度の較正や測定をする段階にまで進めていない。しかし 26 年度中には測定をできると考えており、全体の研究計画には大きな変更はない。 一方で、当初の研究計画にはない半導体光検出器の収集効率を改善する手法が発案できたため、CTA を干渉計として実現するための全体の性能の底上げに繋がると考えている。 これら二点を考慮し、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
26 年度は新しい集積回路の評価、バックプレーンボードとの組み合わせによる時刻精度の較正を行う。集積回路の設定を最適化した状態で光検出器も取り付け、カメラモジュールの試験からカメラ全体の試験へと規模を拡大していく予定である。カメラ 1 台を構成するのに必要な 32 台のカメラモジュールが既に手元に届き、これらの試験をまずは行う。各モジュールの性能試験が完了した後、カメラとして組み上げる予定である。 また本計画を開始してから初めて、強度干渉計に関する国際ワークショップが開催される予定である。この会議に参加し、量子光学や干渉計といった分野の研究者との連携を高める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が海外特別研究員制度を利用して共同研究先のレスター大学に長期滞在することが可能になったため、当初予定よりも旅費支出が少なくて済んだ。また恒温槽が他予算で入手できたため、購入する必要がなくなった。 収集効率を高めた光検出器の試作を行い、カメラ全体の性能を向上させる。
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