平成25年度では、ミュー粒子の異常磁気能率におけるHadronic Light-by-Light scattering (HLbL)の寄与の中でも、特に、connected-typeのファインマン図から誘導される寄与(cHLbL)を、格子QCDシミュレーションのアプローチで、より効率的に計算する方法(moment method)の有効性を確認した。 前年度までの研究では、格子(QCD + quenched QED)に基づく方法により、cHLbLの寄与を格子QCDシミュレーションのアプローチで計算可能であること初めて示した。格子QCDシミュレーションでHLbLの寄与を計算する可能とする方法は、重要な量子効果を優先的に抽出するimportance samplingの機能を、何らかの形で備えていなければならない。格子(QCD + quenched QED)では、2個の仮想光子をstochasticに扱うことでimportance samplingを試みた。新たに開発した moment methodでは、それとは全く異なる概念のimportance samplingを採用することで(おおまかには、HLbL振幅に相当する部分を近似する確率に基づきサンプル)、統計的な誤差をより効果的に削減できることを示した。 HLbLの寄与には、cHLbL以外に、disconnected-typeのファインマン図からの寄与がある。格子QCDシミュレーションのアプローチから自然な分類法によれば、disconnected-typeの寄与は、計7種類の寄与に分類される。これらのdisconnected-typeのファインマン図を含む全HLbLの寄与を一挙に計算する方法のアイデアを構築し、格子QCDの国際会議で発表した。
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