研究課題/領域番号 |
25610056
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
長瀧 重博 独立行政法人理化学研究所, 長瀧天体ビッグバン研究室, 准主任研究員 (60359643)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ガンマ線バースト / 一般相対性理論 / 超新星爆発 / 磁気流体 / 相対論的ジェット / 重力波 / 高密度状態方程式 / ニュートリノ |
研究概要 |
アインシュタイン方程式ソルバーの開発に向けて、世界で行われている一般相対論的磁気流体コード(アインシュタイン方程式ソルバー、Microphysics入り)の開発状況及びそれを用いたガンマ線バースト、重力崩壊型超新星、及び中性子星連星合体の研究状況を詳しく調べた。その結果、アインシュタイン方程式のソルバーとしては従来用いられていたBSSN法より更に安定なPancture法、Z4c法などが提案されていることが分かり、本研究でのコード開発でもこの手法を採用することに決定した。また磁気流体部分であるが、磁場の発散ゼロの性質(divB=0)を保証するためのテクニックがかなり重要であることが分かった。世界の一般相対論的磁気流体コードの中では、2グループがベクトルポテンシャルを用いる方法で系を安定的に解けることを示しており、一方磁場を直接解く方法を採用している他のグループは数値計算上、多くの困難を抱えていることが分かった。しかし本当にベクトルポテンシャルを採用するのが最善かはまだ確定していないと私は考えている。というのも、磁場を直接解く方法で用いられているのはHLLE法という簡易な手法であり、それをバージョンアップしたHLLC/HLLD法で結果がどうなるかについての報告は世界でまだ成されていないこと、及びベクトルポテンシャルで成功しているグループもフラックスの評価はやはり簡易なHLLE法を用いており、どちらを採用するにしても改善が可能であるからである。本研究ではどちらの方法もそれぞれ採用して比較することを決定した(磁場を直接解く方法は本年度、既に開発した)。次年度以降、ベクトルポテンシャル法を開発し、両者を比較する予定である。また高密度状態方程式やニュートリノについては殆ど手がつけられていないのが世界の状況であるので、私の研究室研究員の支援があれば世界最先端に行けることも確信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の報告にもあるように、大枠としての基本方針がはっきり確定したことは非常に大きい。この判断は、結局今後5年程度の成果を左右するものであるので、この点を精査した上で方針を確定出来たことは大きい。またその方針に従って既に磁場を直接解く場合のソルバーを開発したこと、現在報告されている世界の論文の一歩先を行くHLLC法の導入に成功したことなどは大きな成果だった。アインシュタインソルバーの開発もまずはPuncture法を採用することとし、コード開発に着手している。まだ具体的な成果を挙げるところまでは行っていないが、次年度にはアインシュタインソルバーも完成し、テスト計算の結果も揃っていると期待出来る。また研究開始時には予期していなかったが、高密度状態方程式やニュートリノ輸送に詳しい滝脇知也研究員が私の研究室に今年8月に着任することが決まった。滝脇研究員とは現在既に研究打ち合わせを行っているが、本研究の推進するにあたって当初の予想以上に彼との打ち合わせは役に立っている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度にあたっては引き続きPuncture法によるアインシュタイン方程式ソルバーの開発を行う。Puncture法はアインシュタイン方程式を(3+1)分解し、コンフォーマル変換を含めた複雑な変数変換を要するが、その導出過程のチェックを私の研究室研究員のMaxim Barkov氏にサポートしてもらう方向で調整している。また特にホライズン付近を含めた境界条件の設定等々、スキーム以外にも詰めておくべき個所があるのでこの点についてもMaxim Barkov氏と議論しながらコード開発を進めていく予定である。また私個人としては、現在Basel大学で研究員をしている黒田氏を本年12月に招聘し、彼とアインシュタインソルバーについて細かい打ち合わせを検討することが本研究計画推進に大きく役立つと考えている。また磁気流体パートに於いてはベクトルポテンシャル法を用いた手法を開発する。この点については私の研究室研究員の松本仁氏がサポートしてくれる方向で調整が進んでいる。松本氏の加入もまた、当初の研究計画には無かったもので、本研究を当初の計画以上に推進出来るものと期待している。また「現在までの達成度」の欄で述べたように滝脇知也研究員のサポートを受け、高密度状態方程式やニュートリノ輸送の部分も補強していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究計画の推進にあたり、Puncture法の導出等々解析的な計算が多々あり、その導出が間違っていないかをクロスチェックすることが本年度大きな作業であった。その際、私の研究室研究員であったAlexey Tolstov氏にクロスチェックを手伝って貰い、それに対して謝金を彼に支払っていた。しかし3月になり、彼に対する謝金を支払うだけの金額が残っておらず、別の財源にて彼に対し謝金を支払った。その結果本研究費に対しては逆に50722円が残金として残った。理化学研究所の事務からも残金については繰越が可能との説明を受けた。そこで次年度Basel大学の黒田研究員招聘の予算として使用することとしたい。 アインシュタイン方程式ソルバーについて、旧式のBSSN法ではあるがソルバーを実際に開発したBasel大学の黒田研究員が12月に来日する予定であるので、その時期彼を理研にも招聘し、アインシュタイン方程式ソルバーの開発について詳しい議論を行いたいと考えている。これは当初研究計画には無かった予定であり、繰り越した金額は丁度黒田氏の理化学研究所滞在費相当分でもあるので、繰り越した予算を有効に使用できるものと考えている。
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