• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

低質量暗黒物質直接探索のための低閾値有機半導体検出器の基礎開発

研究課題

研究課題/領域番号 25610057
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関神戸大学

研究代表者

身内 賢太朗  神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362440)

研究分担者 熊木 大介  山形大学, 理工学研究科, 助教 (80597146)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード暗黒物質 / 有機半導体 / 検出器
研究概要

暗黒物質直接探索実験は、イタリアのDAMAグループ等の「検出の主張」と米国のXENON100グループ等の「排除の主張」が対立しているが、10GeV以下の質量では許容される領域がある。低質量暗黒物質は、比較的原子量の小さい物質で低閾値の検出器を製作することで感度の高い探索実験を行うことができる。米国のDAMIC実験は40eVのCCDを用いて、わず1gの検出器で100kg以上の質量の検出器に匹敵する感度を得た。
本研究は、i)有機半導体を放射線検出器として動作させ、閾値0.5keVを達成、ii)暗黒物質探索実験に必要とされる長期安定性や大質量化への要素技術を開発することを目的とする。
これまでに有機半導体を用いたFET構造を製作、検出器としての基本性能である空乏層形成と電荷収集に寄与するドレイン-ソース電流について、ゲート、ソース電圧依存を詳細に測定した。製作したサンプルが以前ん製作したものよりもリーク電流が大きかったため、この対策を予定している。封止による対策は、そのまま暗黒物質検出器として必要とされる長期安定化へも有効であると考えられる。今後、放射線検出器として動作確認の後に、材料選択によって低閾値化を実現、暗黒物質検出器としての有用性を評価する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は、○有機半導体測定システムの確立及び ○有機半導体検出器を製作、閾値を低下させるための材料・構造パラメータ探索。 を予定、以下に記す通り予定通り順調に進展した。
(H25-1)実積のある材料による、有機半導体検出器の製作:これまでに実績のある低分子有機材料を用いて、トランジスタ構造を製作、半導体としての基礎性質の測定を行った。低閾値達成のために必要である移動度(移動速度×寿命)の速い材料を用いて、100nmの半導体厚で20種類のセルサイズのFETトランジスタを製作した。(熊木)
(H25-2)材料パラメータの測定および放射線検出器としての性能評価:(H25-1)で作製した材料自体の半導体の基礎的な特性を測定した。FETトランジスタ構造を形成、電流の電圧依存を測定した。まず、半導体測定専用の機器を保有するKEKで測定を行い、素子の特性を詳細に測定した。その後、神戸大学の簡単な測定器を組み合わせたシステムを構築、同様の測定を可能とした。有機半導体を放射線検出器として応用するために、特性を測定するためのシステム確立は順調な進捗である。製作したFETトランジスタの電気的性質、特に空乏層形成と電荷収集に寄与するゲート、ソース電圧依存を詳細に測定、放射線検出器として動作させるための最適な電圧の組み合わせを検討した。(身内)
この結果、以前作成したサンプルよりもリーク電流が大きいことが判明、封止による対策を行う予定とした。半導体検出器としての評価はリーク電流を減少させた後に行うこととした。
(H25-3)材料・構造パラメータの順位づけ 半導体検出器として使用するためには、バンドギャップの小さな材料が有利と考えられる。上記(H25-2)のリーク電流を解決の後、各種材料で検出器構造を試作、材料の判断を行うこととした。

今後の研究の推進方策

平成25年度に製作した有機半導体トランジスタは、以前作成したサンプルよりもリーク電流が大きいことが判明した。平成26年度はこの対策を再優先で行い、解決の後に検出器としての性能向上の研究を行う。
(H26-1)リーク電流対策:リーク電流が大きいと、雑音源となり低閾値検出器製作の支障となる。平成25年度に製作したサンプルは、製作後の封止を行わなかった。このため、空気中の水分によってリーク電流が発生していた可能性がある。平成26年度には、製作直後に封止を行い、空気中の水分による影響のないサンプルを製作する。(熊木)
(H26-2)放射線検出器としての動作確認:(H26-1)でリーク電流の減少が確認されたのちに、放射線検出器としての動作確認を行う。まずは、放射線検出器として動作することを第一の目標とする。その後、本検出器の最大の目標である検出器の閾値測定を中心に測定する。これらの測定は、α線やX線を検出器に照射することで行う。(身内)
(H26-3)暗黒物質探索実験への応用評価:低閾値を達成したのち、暗黒物質探索実験へ応用するための種々の要請について検討する。長期安定化に対しては封止技術による対策、大質量化のためには積層化、低バックグラウンド測定の要請には、材料中の放射性不純物測定などによって対策を行う。(身内)

次年度の研究費の使用計画

半導体試作の結果、リーク電流が観測された。リーク電流対策を確認した後に多種材料での製作を次年度に行う。
半導体材料、測定用回路部品を購入する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 低質量暗黒物質直接探索実験2014

    • 著者名/発表者名
      身内賢太朗
    • 学会等名
      日本物理学会第69回年次大会
    • 発表場所
      東海大学
    • 年月日
      20140329-20140329
  • [学会発表] 直接探索の将来計画2013

    • 著者名/発表者名
      身内賢太朗
    • 学会等名
      日本物理学会2013年秋季大会 高知大学(シンポジウム「暗黒物質探索の現状と将来」)
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      20130921-20130921
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi