暗黒物質直接探索実験は、イタリアのDAMAグループ等の「検出の主張」と米国のXENON100グループ等の「排除の主張」が対立しているが、10GeV以下の質量では許容される領域がある。低質量暗黒物質は、比較的原子量の小さい物質で低閾値の検出器を製作することで感度の高い探索実験を行うことができる。米国のDAMIC実験は40eVのCCDを用いて、わずか1gの検出器で100kg以上の質量の検出器に匹敵する感度を得た。 本研究は、i)有機半導体を放射線検出器として動作させ、閾値0.5keVを達成、ii)暗黒物質探索実験に必要とされる長期安定性や大質量化への要素技術を開発することを目的とする。 平成26年度の研究では、放射線検出器としての動作確認実験を行った。α線、重粒子線を照射する試験を行い、放射線検出器としての動作するためには数倍のシグナル/ノイズ(S/N)比の改善が必要であることが判明した。S/Nの改善のためには、素子の厚膜化(現在は0.5μm)、ノイズの低減(現在は、アンプまでケーブルによる接続)、正孔の長寿命化(現在の寿命は不明)が有効である。それぞれで数倍の改善をおこうなうことで、粒子線検出器としての動作を確認することが有機半導体を暗黒物質探索実験へと応用するための重要な開発要素であることが判明した。
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