研究課題/領域番号 |
25610061
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
早川 岳人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (70343944)
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研究分担者 |
緒方 一介 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (50346764)
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 教授 (60319829)
宮本 修治 兵庫県立大学, 付置研究所, 教授 (90135757)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光核反応 / 飛行時間測定法 / (γ、n)反応 |
研究概要 |
原子核の磁気的双極子(M1)遷移強度は、超新星ニュートリノ元素合成過程におけるニュートリノ-原子核相互作用の評価のために重要な物理量である。しかし、理論予測に対して測定されたM1強度は大幅に小さく、長年の問題となっている。中性子離別エネルギー以上の領域では、E1 遷移による巨大双極子共鳴が強く出現するため、この領域のM1 強度を計測する有効な手段は未だにない。そのため、我々はこれまで行われていない、直線偏光 したレーザーコンプトン散乱γ線による(γ,n)反応で放出された中性子角度分布を計測し、高エネルギー励起領域のM1 強度を実験的に求める手法を提案する。1957年のAgodiによって直線偏向したγ線を照射した時に、ビーム軸θ=90 度の角度において、角度φに対しては、γ線の強度はa+b・sin(2φ)の関数で記述されることが角運動量の保存則から予言されれいた。しかし、ほぼ100%直線偏向してかつ、エネルギーを自由自在に変更できるγ線源がレーザーコンプトン散乱(LCS)γ線の登場まで存在しなかったため、検証されていなかった。現在、MeV~数十MeV 領域のレーザーコンプトン散乱(LCS)γ線を生成できる施設は、SPring-8内の放射光施設ニュースバルとDuke 大しかない。ニュースバルのLCSγ線を用いて実験を行った。電子エネルギー1GeVのとき1μm の波長のレーザーで約17MeV のγ線を生成し、(γ、n)反応で発生した中性子を飛行時間測定法で計測した。γ線と中性子を綺麗に分離することができた。検出器を固定したまま直線偏向面を変えることで、角度分布を計測した。その結果、Au、I、Cu、Feに対してa+b・sin(2φ)で再現できることを実験的に確認した。広い質量領域で初めてAgodiの予測を検証したと言える。
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