研究課題/領域番号 |
25610065
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
都丸 隆行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 准教授 (80391712)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超伝導センサー / 宇宙マイクロ波背景放射 / 精密計測 |
研究概要 |
超伝導TESボロメータに交流バイアスを印可したElectro-Thermal Feedback法を開発することにより、超伝導TESボロメータに直接電気的な変調をかけ、CMB観測で問題となる低周波の1/fノイズ低減を図ることが本研究の目的である。初年度は、この研究を行うためのセットアップを行った。当初使用を予定していた超伝導TESのテストシステムでは、センサーを冷却するソープション冷凍機の不調とDC SQUID readoutセンサーのノイズが大きいという問題が明らかとなったため、TESのテストを行うクライオスタットを別のものに変更し、SQUIDセンサーは独Magnicon社製のDC SQUIDを新規調達してインストールすることにした。 DC SQUIDの調達には少々時間がかかったため、まずは手持ちのfrequency domain multiplexed SQUID readout systemを用いて、超伝導TESボロメータをきちんと動作させるセットアップづくりに注力した。TESにはUC Berkeleyで製作したdipole-slot antenna couple TESを用い、Vespel パイプで保持された焦点面上にマウントした。この状態でTESの動作試験を行い、うまくElectro-Thermal Feedbackによるボロメータの動作に成功した。このSQUID readoutでは交流バイアス印可が出来ないため、Magnicon社のDC SQUIDが納品された後、readout SQUIDの置き換え作業およびエレクトロニクスの交換作業を行っている。現在はDC SQUIDのセットアップを行っている途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の目標である超伝導TESボロメータの動作試験自身は無事終了したが、SQUID readout systemの入れ替えが必要になったため、この部分については少々遅れが生じている。しかし、DC SQUID readout systemの新規調達は完了し、現在置き換え作業の途上である。DC SQUID readoutの動作試験完了後、直ちに交流バイアス印可によるElectro-Thermal Feedback試験を実施する予定であり、早期に当初予定通りのスケジュールへ復帰可能である。
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今後の研究の推進方策 |
DC SQUID readoutの動作試験完了後、直ちに交流バイアス印可によるElectro-Thermal Feedback試験を実施する。交流バイアス印可後のElectro-Thermal Feedback法の検証では、ボロメータのsaturation power測定などを行い、その後ミリ波偏向の入射実験を行う。外からミリ波を入射する場合は赤外線対策などが非常に難しく、現在のクライオスタットではそのようなセットアップが出来ていないため、クライオスタット内に弱い光源を設置して、原理検証を行う方針を考えている。これにより、本研究アイデアの原理検証は実現可能である。
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