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2014 年度 実施状況報告書

Sine Square Deformationを用いた弦理論の双対性の究明

研究課題

研究課題/領域番号 25610066
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

多田 司  独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 副主任研究員 (10322603)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードSine-square deformation / Conformal Field Theory / Virasoro Algebra / string duality
研究実績の概要

昨年度の成果を受けた研究方針に則り、今年度は励起状態についての研究を進めてきた。この点において共形不変性を最大限に活用することにより飛躍的な知見が得られた。今回まず着目したのは無限次元代数をなす共形不変性の代数すなわちVirasoro代数の内、大域的共形変換と呼ばれる部分代数の表現である。共形場理論においてはSine-square deformationの手続きは、Hamiltonianに新たな項を付け加えることに寄ってなされる。その新たに付け加える項および元来ののHamiltonianに含まれる項はすべてこの大域的共形変換の部分代数の要素となっている。このことから、この部分代数についての考察を深めることが重要であろうと考えた。この代数が3次元のローレンツ変換の代数と同型であることから、ローレンツ変換との物理的類推を進め、Sine-square deformationは、光円錐表現に対応するであろうとの着想を得た。
このことを確かめるために、Sine-square deformationを起点とした系における代数の構築を、元来の共形場理論の場合と同様に試み、これに成功した。最終的に構成された代数は同じ中心拡大を持つ連続変数に対応するVirasoro代数となった。このことは、この系の励起状態は連続のスペクトルを持つことを示している。また連続のスペクトルを持つことは、系のシステムサイズが無限大であることを示しており、共形場理論の場合にSine-square deformationを行うことは、系のサイズを無限大にすることに対応している。これにより、端点における境界条件が実質的に系に影響しなくなることから、Sine-square deformationにより基底状態の一致を理解することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上述の通り今回大域的共形変換と呼ばれる部分代数に着目し考察を進めることにより、物理的な理解が飛躍的に進み、連続変数のVirasoro代数を得るとともに、系のシステムサイズが無限になることの知見が得られたため、今後の研究の方向性もはっきりさせることができた。

今後の研究の推進方策

連続的なVirasoro代数という新たな対象を得たので、今後はこれによって構築される連続スペクトルの共形場理論の基礎を確立することを目指した研究を行う。特にヒルベルト空間の構造の理解は喫緊の課題であり、これらの解明によりさらに興味深い研究対象が出てくることも期待される。

次年度使用額が生じた理由

今後の研究方針について広く知見を得るため、研究会の開催を想定していた所想定以上に研究に進捗があったため、研究会の内容について練り直し、これを最終年度の開催とすることにしたため。また論文掲載決定までに時間がかかったため、投稿料の計上が次年度に持ち越された。

次年度使用額の使用計画

本課題をさらに発展させるために、関連研究者を集めた研究会を開催する。また成果を広く周知させるために、可能な限り論文を多数Open Access Journalに投稿し、投稿料を負担する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] On the infinite circumference limit of CFT2015

    • 著者名/発表者名
      多田司
    • 学会等名
      日本物理学会第70回年次大会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2015-03-24

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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