研究課題/領域番号 |
25610068
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 勇気 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50449542)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / 結晶成長 / 核生成 / 透過電子顕微鏡 |
研究概要 |
従来、溶液中での均質核生成実験では、多くの系で準安定相や非晶質が前駆体として析出する核生成過程が信じられている。しかし、“その場”観察には光学顕微鏡や光散乱が主に用いられており、直接的な強い証拠は得られていない。核生成と前駆体のかかわりは、今世界的にホットな領域である。ナノオーダーで現象をリアルタイムで直接観察するのに最も強力な装置は透過電子顕微鏡(TEM)であるが、TEM中で用意できる環境には制限が大きく、核生成の“その場”観察は限定的な条件と物質での報告しかない。木村はイオン液体を溶媒に用いた塩素酸ナトリウム溶液中での核生成過程を透過電子顕微鏡(TEM)により“その場”観察することに成功し、核生成過程を相同定を含めてナノスケールで直接観察することに成功した。その結果、ナノサイズの結晶の溶解過程においては画一的に質量を減らしていくばかりでなく、溶質分子を取り込んだ成長段階とを周期的に繰り返していることや、溶解する結晶のすぐそばで核生成が起こって新たな結晶が作られることが初めて明らかになった。さらに、核生成によって安定相だけが現れるのではなく、準安定相の結晶が一緒に生成することも電子回折パターンから明らかにした。ただし、準安定相結晶はより短時間で溶解した。従来はナノ粒子のサイズや個数を間接的に測定していたために、系全体としての描像についてのいわばマクロ的な視点であったのに対し、ミクロな領域での現象を捉えることに成功した本成果は、核生成過程の飛躍的な理解につながることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の実験成果はすでに論文としてまとめ、アメリカ化学会誌に発表済みである。また、次年度に計画していた内容にも取り掛かっているため。
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今後の研究の推進方策 |
インパクトの大きな成果が得られたため、他の結晶や溶媒を用いた実験に取り組むことで、一般性を確認する必要性がでてきた。今後は、当初計画を踏襲しつつもフレキシブルに展開する方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験成果が当初予定を超えて上がったことにより、研究費を効率よく使用できた。また、それにより、論文執筆が早まったため、実験を翌年度に行うことになったため。 研究成果が上がり、見通しが良くなったことから、数か月間学術研究員を雇用することで、さらに研究を推進する。
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