超短光パルスの時間および空間二次元の制御に初めて成功した。超短光パルスの時間波形制御は回折格子対とレンズによる4f光学系に空間分解能をもつ位相変調器を組み合わせることで行えることが広く知られている。しかし、空間を含めた制御は空間一次元の制御が報告されているだけであり、空間二次元の制御は従来の方法では不可能であった。本研究では、二重4f系というまったく新しい光学系を用いることで空間二次元と時間波形の同時制御を可能とした。 超短パルス光源としては現有のチタンサファイアレーザーを用いた。内側の4f光学系は時間波形整形用であり、本研究では位相変調器ではなく強度変調による制御を行うマスクを利用した。外側の4f光学系が空間制御用であり、現有の二次元光位相変調器を用いて任意の制御を可能とした。時空間整形された光パルスの測定は、光カーゲートを用いた交差相関測定を行い、空間特性は購入したCCDカメラで検出した。開発された波形整形装置の空間分解能は約0.1 mmである。これは光学系配置の制約によるものであり改善が可能である。また、位相変調器の素子数の関係で時間波形のパターン数に制限はあるものの、当初の理論予測通りに二次元空間と時間の三次元制御が行えることが実証された。 THz波発生については、本研究で得られる光パルスによりどのようなTHz波が発生されるかをシミュレーションにより検討した。その結果に基づいて、THz波発生および計測のための光学系の製作を行った。THzの発生と検出には非線形光学結晶であるZnTeを用いている。結果から、単色性や空間分解能をさらに高めるために必要な条件について検討を行った。本研究による方法では、THz波の掃引に機械的機構を必要としないため、高速かつ高精度の掃引が可能となることが大きな特徴である。
|