走査トンネル顕微鏡を用いて,分子-電極界面を開閉することで分子接合のスイッチングを達成した。Cu(110)に吸着させたフェノキシ分子を探針に持ち上げ分子接合を形成し,その後,探針を引き上げることで分子は元の位置に戻る。これにより,分子接合を非破壊,可逆的に開閉することを可能とした。このようなよく規定された環境で分子接合の制御を行うことにより,従来にないレベルの精密な分子伝導実験を次々に行った。まず,ベンゼン環の側鎖基が分子伝導に与える微小な影響を系統的に検出した。さらに,電極上の分子位置を精密に制御することで,分子間相互作用が伝導に与える影響について明らかにした。
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